骨盤の痛みですぐに子宮筋腫や子宮がんを疑う必要はありませんが、身体になんらかの異常が起きていると考えてよいでしょう。ここでは、そのうちのひとつである子宮の異常について解説します。


子宮は骨盤に守られている
子宮は鶏の卵ほどの大きさをした袋状の臓器で、骨盤に囲まれており、6本の靭帯でしっかりと固定され大切に守られています。洋ナシが逆さまになったような形をしている子宮の上部分を子宮体部、細くなって膣(ちつ)につながっている下の部分を子宮頸部といいます。


子宮筋腫による骨盤の痛み
良性の腫瘍である子宮筋腫の症状として、過多月経や不正出血、下腹部痛などがあげられますが、下腹部痛や骨盤の痛みも含まれます。子宮筋腫がこぶし大以上に大きく成長して骨盤内が筋腫でいっぱいになると、神経を圧迫して骨盤周辺に痛みを感じることがあります。さらに、坐骨神経や骨盤内にある血管を圧迫すると、脚のしびれやむくみを生じることもあります。子宮筋腫そのものは命にかかわる心配はないので、治療をせずに様子を見ることもありますが、このように症状が現れている場合には筋腫を摘出する手術も検討されるでしょう。


子宮がんによる骨盤の痛み
子宮頸部や子宮体部に悪性の腫瘍ができたときにも、骨盤に痛みが生じる場合があります。

子宮頸がん
子宮の入り口の細胞にできるがんで、30〜40代の女性に発症しやすいとされています。最近では若年化して、20代にも増加しています。腫瘍が骨盤内にある神経を圧迫すると、骨盤や腰、背中などに痛みを感じるようになります。初期症状はほとんどなく、不正出血や性交時の出血などで気づくケースが多いですが、骨盤や腰などに痛みを感じるときには進行している可能性が高いでしょう。

このような症状が出てからでは手遅れになるおそれもあるので、20歳を過ぎたら定期的な検診は欠かさず受けてください。早期に発見できれば、子宮を温存できる子宮頸部円錐切除を行うのが一般的です。妊娠を望まないのであれば、再発リスクを考慮して子宮を全摘出する手術を行うこともできます。近年では放射線療法の効果が高くなっています。

子宮体がん
子宮内膜から発生するがんで、40代後半から発症する人が増え、50〜60代にピークを迎えます。主な症状は不正出血ですが、骨盤周辺に痛みが現れることもあります。特に子宮体がんは骨盤内のリンパ節などに転移しやすいのが特徴です。子宮筋腫や子宮頸がんと同様、腫瘍が神経を圧迫すると骨盤や腰、背中、おしり、脚にかけて痛みやしびれが生じるでしょう。子宮体がんの治療も基本的には手術ですが、高齢や合併症などにより手術が困難な場合には、放射線療法や化学療法で治療していきます。


引用元:
子宮筋腫や子宮がんが原因で生じる骨盤の痛み(ウーマンエキサイト)