脱毛の原因にもなる脂漏性皮膚炎の発見と対策【前編】
頭皮や髪の生え際、眉間(みけん)、眉毛、鼻のわきや耳などに赤い湿疹ができる。フケが異常に多くなった−−。こんな症状があったら脂漏性皮膚炎かもしれません。脱毛症の原因にもなる脂漏性皮膚炎の早期発見のポイントと効果的な対策について、2回にわたって紹介します。
赤ちゃんと30代男性に多く発症
脂漏性皮膚炎は皮膚のうち脂の分泌が多いところに赤い湿疹が出るものをいいます。また、鱗屑(りんせつ=一般的にいうフケ)といって、皮膚の表皮がはがれたものが落ちてきます。症状はわきの下や胸などにも表れやすく、赤ちゃんから大人まで幅広い年齢で発症しますが、中でも多いのが赤ちゃんと30代の男性です。
赤ちゃんが発症するものは乳児脂漏性皮膚炎と呼ばれており、大人のものとは区別されています。乳児脂漏性皮膚炎の原因は皮脂です。生まれたばかりの赤ちゃんは、男女どちらにもお母さんから受け継いだ男性ホルモンのテストステロンの影響が残っています(女性にも男性ホルモンが存在します)。男性ホルモンには皮脂腺を増殖させる働きがあります。赤ちゃんは新陳代謝がさかんなこともあって毛穴に脂が増え、汗などとあいまって皮膚の炎症が起こります。
乳児脂漏性皮膚炎は放置しておいても自然に治ることがほとんどです。かゆみもあまりなく、赤ちゃん自身がつらいということもありません。一方、かゆみがあるそぶりを見せたり、2カ月以上、皮膚の症状が続いていたりという場合はアトピー性皮膚炎など他の皮膚病の可能性があります。見た目の区別はつきにくいので、心配な場合は皮膚科を受診しましょう。
大人は治りにくく再発しやすい
一方、大人の脂漏性皮膚炎は乳児の場合と違って治りにくく、再発を繰り返しやすいことで知られています。こちらは「マラセチア」という真菌(カビ)が原因であることがわかっています。マラセチアは皮膚に存在する常在菌で皮脂を分解して脂肪酸にかえる働きをしています。この脂肪酸が脂漏性皮膚炎の引き金になり、何らかの原因でマラセチアが大量発生すると発症しやすくなります。マラセチアは他にもアトピー性皮膚炎を悪化させたり、マラセチア毛包炎(マラセチアが毛穴の中で増殖することによって起こるもの。背中を中心にニキビに似た発疹があらわれる。思春期の男女に多く発症する)を引き起こしたりするなど、さまざまな皮膚トラブルの原因となります。
大人の脂漏性皮膚炎は顔にできた場合、赤ちゃんと同様にかゆみはほとんどありません。女性の患者さんは赤みを気にして受診しますが、男性は放置してしまう人が多いようです。一方、脂漏性皮膚炎が頭皮や髪の生え際にできた場合には強いかゆみが起こります。かゆくて患部をかくと大量に鱗屑(フケ)が落ちるため、「スーツが汚れる」と困って来院する男性が多いのです。フケは通常、毎日、髪の毛を洗っていればそれほど出ませんので、洗髪をしているにもかかわらず、大量のフケが出るようであれば脂漏性皮膚炎の兆候と考えましょう。
皮膚科では診断をつけるために鱗屑を顕微鏡で調べ、マラセチアがいるかどうかをみます。別の真菌で水虫の原因菌となる白癬(はくせん)菌によるものもあるからです。また、酒さ(赤ら顔)といって中年以降の人に多く、主に顔に生じる原因不明の皮膚病や、「ジベルばら色粃糠疹(ひこうしん)」といって腹部や背中を中心に赤い斑点が突然できるという皮膚病も脂漏性皮膚炎に似ています。こうした病気との鑑別も重要なのです。
次回は脂漏性皮膚炎の効果的な治療と再発予防法について説明します。【聞き手=医療ライター・狩生聖子】
引用元:
赤ちゃんと大人、ここが違う「脂漏性皮膚炎」