Q.不妊治療を始めてみようかと考えている37歳の女性です。治療を始めるにあたり、何か決めておくべきことってありますか?

3年間にも及ぶ不妊治療の末に、40代でようやく子どもを授かった『俺たち妊活部―「パパになりたい! 」男たち101人の本音』の筆者・村橋ゴローが自身の妊活体験を元に今まさに妊活中の方の不安の声に応えていきます。

今回は、不妊治療を始める前に夫婦で決めておくべき大切なコトを経験者としてお伝えします。
不妊治療を経験して、「これだけは決めておくべきだった」2つのコト


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僕は何も考えずに治療を始めたのですが、不妊治療を経験し、「これだけは決めておくべきだった」と痛切に思ったことが、2つあります。それは、“予算”と“やめどき”です。

まず予算ですが、不妊治療というのはべらぼうに金がかかります。

人工授精は3万円ほどですが、問題は体外受精。これだけ不妊治療が社会問題化していますから、補助金が出る自治体は多くあります。

ですが基本的に体外受精を受けるのには、50万円ほどかかります。一打席50万円ですよ、奥さん。三振か、逆転満塁ホームランか。非常に痺れます。

自分はどの治療を望み、いくらかかるのか。それくらいは勉強し、あらかじめ予算を組んでおいたほうがいいでしょう。



“やめどき”を奪ったともいえるニュース


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さて、問題はやめどきです。これが厄介なのです。というのも、先ごろ「ジャネット・ジャクソンが50歳で出産」というニュースが世界中に衝撃を与えました。これは不妊治療の末の出産かはわかりませんが、とにかく五十路で産めたという事実は、人々に希望を与え、そしてそれ以上の罪として“やめどき”を奪います。

不妊治療は、どこかギャンブルと似ています。結果が出なければ、出るまで賭けてしまいがちです。しかし悲しいことに“当たり”が出るとは限りません。

しかし「ここまで頑張った以上、引き返せない」と、ズルズルと行きがちになってしまうのです。

しかし、ある一定の予算とやめどきを決めておけば、予算が尽きたとき、自分で決めた期限が来たとき、いったん歩みを止めて冷静に考えることができます。

それでも人間というのは、諦めが悪い生き物です。どんなに「40歳まで」と決めていても、いざ四十になったら、今度は「42歳まで頑張ってみる」となりがちです。だからこそ、一定のやめどきは決めておく必要があるのです。



8年間で3000万円を費やした、その結果は…?

僕は幸いにして治療2年半、250万円をつかったところで子宝に恵まれました。僕は予算もやめどきも決めずに見切り発車で走り出してしまったので、もし今だに子どもができていなかったら……と考えるとゾッとします。

千万円単位で貯金を切り崩し、44歳の今でもクリニックに通っていたとしたら、精神的にもどうなっているかと恐ろしくなります。

僕は拙著『俺たち妊活部』を書くにあたり、101人の経験者&現役の不妊治療者を取材しました。そのなかで、8年・3000万円を費やしたという方がいました。

8年間という時間は、もうひとつの時代です。そして3000万円という金額はマンションすら買える大金です。その両方を使い果たしたその方は……結局、できなかったそうです。

冗談でも何でもなく、また冗談であってもまったく笑えませんが、不妊治療、それは

「ご利用は計画的に」。



ノンブレーキで突っ走った結果、子どもができればいいですが、そんな物語だけではありません。

だからこそ“事前のやめどき決議”が必要なのです。「子どもが欲しい」という気持ちはもちろんわかりますが、まず大事なのは「自分自身と、その将来を壊さないこと」にあるのですから。


引用元:
不妊治療前に決めておくべき2つのコト(It Mama)