人や動物の細胞を立体的に作る「バイオ3Dプリンター」を使い、事故などで欠損した神経を再生する世界初の技術を開発したと、京都大の池口良輔准教授らの研究グループが23日発表した。論文は米科学誌プロスワンに掲載された。
 事故で指の神経細胞が欠損した場合、足などの神経を移植する手術が行われるが、代わりに足の神経は欠損してしまう。シリコン製チューブで欠損した神経同士をつなぐ人工神経の開発も進むが、事故前の状態まで回復させるのは難しい。
 池口准教授と九州大発の医療ベンチャー、サイフューズ(東京)は、人の皮膚から採取した細胞を培養して作った細胞の塊から、サイフューズが開発したバイオ3Dプリンターを活用し、筒状のチューブ「神経導管」を作製した。
 神経導管は長さ8ミリ、外径3ミリ程度。神経が欠損したマウスに移植したところ、人工神経では足を引きずるマウスが多かったのに対し、人の細胞から作った神経導管を使った場合は健康なマウスのように足を上げて歩いた。 
 研究グループは2019年度から臨床試験を行いたい考え。池口准教授は「日本では年間5000〜1万人が事故や労災で神経を欠損しており、患者の社会復帰と痛みを取ることができる」と話している

引用元:
3Dプリンターで神経再生=細胞チューブ作製−京大など(時事通信)