子供向けに栄養機能を強化するなどしたさまざまな食品が市販される中、錠剤やカプセルなどの「サプリメント(サプリ)」について、国の研究所が先月、安易に子供に与えないようリーフレットを作成し、保護者に注意喚起した。専門家は「栄養が足りていない場合は、食事の改善が先」と警鐘を鳴らす。(平沢裕子)

8〜10%が利用

 「本当に栄養不足? 幼児にサプリメントは必要ですか?」−。国立健康・栄養研究所情報センターは、リーフレットで保護者にこう問いかける。同センターは、聞き取り調査などから幼児にサプリを与えている保護者が日本に8〜10%いると推定する。

 研究員の佐藤陽子さんは「調査では自分が飲んでいるサプリを子供に与えている保護者もいた。栄養は普段の食事で取ることが基本。子供にサプリが本当に必要か考えてもらうきっかけになれば」と説明する。

 大人用のサプリは、健康維持や疲労回復、ダイエットなどを目的にしたものが多いが、子供用は「身長が伸びる」「育ち盛りの栄養補給」「脳の発達に良い」など「成長」をターゲットにしたものが目立つ。

 健康食品関連のコンサルティング会社「グローバルニュートリショングループ」によると、子供用サプリの日本の市場規模は数十億円。米国では約3兆円ある健康食品市場の1割程度が子供向けとされ、日本でも今後、市場規模の拡大が見込まれている。
子供が好む味で

 アサヒカルピスウェルネスは、乳酸菌を配合した錠剤の健康食品「アレルケア」の子供用を平成21年から販売。子供が食べやすいようにブドウやヨーグルトの味をつけたもので、28年は前年比1・4倍と好調な売れ行きだ。アサヒグループホールディングス広報部は「含まれる乳酸菌は野菜や肉など通常の食品からは摂取できない。薬ではないが、子供の花粉症やアトピーに悩む保護者の利用もあるようだ」と話す。

 ロート製薬は、カルシウムやビタミンDなど成長期に必要な栄養素を配合した粉末状の栄養機能食品「セノビック」を平成19年から販売。ココアやイチゴなどの味があり、牛乳や水に溶かして飲む。

 広報・CSV推進部の河崎保徳部長は「牛乳嫌いの子供においしく牛乳を飲んでもらうために開発した。カルシウムは国の栄養摂取基準で子供の摂取量に上限がなく、どんどん摂取した方がいい栄養素」と説明。また、情報センターのリーフレットについては「栄養は食事で取るべきだが、必要な栄養が取れていない子供が少なくない」と指摘した。
味わう楽しさを

 多くの保護者にとって、自分の子供の栄養が足りているかは確かに気になる。リーフレットでは「子供の栄養が不足しているとする根拠はほとんどない。心配な人は自己判断せず、かかりつけ医などに相談を」と呼び掛ける。

 一方、メーカー側は食事の重要性を強調しながら、食事では摂取しにくい成分の補給などをうたっている。サプリだけでなく、カルシウムなどの栄養素を強化したものは飲料やヨーグルト、ビスケットなど、通常の食品もあり、子供にこれらの食品を与えるかどうかも悩ましい。

 食育に詳しい管理栄養士の荒牧麻子さんは、「幼児期は味覚を育てる大事な時期。子供には、野菜や肉・魚など昔からある食品の色や味、香りを楽しんで食べることの大切さを教えてほしい」と話している。


引用元:
子供にサプリメント必要? 栄養不足ならまず食事改善を (産経新聞)