妊娠中の検査で中性脂肪の値が高くなることが出ます。中性脂肪の数値が高いことは、妊娠や出産、胎児に影響はあるのかを解説します。


妊娠中は脂肪がつきやすくなるもの
妊娠中は妊娠前に比べて脂肪がつきやすくなります。妊娠初期〜後期にかけて中性脂肪の値は少しずつ増えていき、出産が近づく臨月の時期には、総コレステロール値は妊娠前の25〜50%高くなり、中性脂肪は約2〜4倍以上に上昇します。

これまで数値が正常だった方にとっては、不安になってしまうかもしれませんが、これはホルモンの影響によるもので、食べ過ぎや運動不足によるものではありません。


妊娠中に中性脂肪が高くなるメカニズム
なぜ妊娠中の中性脂肪の値が高くなるのかというと、妊娠中に分泌が促されるホルモン(エストロゲン)が、肝臓で分泌されるHTGL(肝性中性脂肪リパーゼ)などの脂質分解酵素の活性化を抑える働きをするのが原因とされています。

妊娠すると、胎盤から出る性ホルモンや酵素による働きによって、妊娠初期〜中期(妊娠7カ月の終わり)の時期には体脂肪が合成され、後期(妊娠8か月〜臨月)には、その体脂肪は分解が促進されます。

個人差はありますが、最終的に体重は10〜11kgほど増えます。増えた分のうち、体脂肪が約3〜4kgで、この脂肪によって脂肪酸が血中に放出されるため、中性脂肪やコレステロールの値も変化します。これは正常な変化であり、特に何らかの異常があるわけではなく、妊娠が終わればたいていは自然に元の状態に戻ります。


妊婦の中性脂肪の高さは、どのように影響する?
中性脂肪は分子が大きいため胎盤を通過しません。そのため、血中の中性脂肪の値が高くても、赤ちゃんが高脂血症や、糖尿病で心配されるような巨大児になるおそれはありません。

しかし、中性脂肪が高い状態は、太りやすい状態であるといえます。もしも妊娠前から中性脂肪が高かった場合は、肥満や必要以上に体重が増えないように注意する必要があります。体重管理をしっかりと行ない、もしも増えすぎや肥満を主治医に指摘された場合、今後、妊娠高血圧症候群などの合併症となるリスクや、難産になるなどのリスクが高まることが予想されます。
妊娠中の体重は、ゆるやかに増えるのが望ましいため、「増えるものだから」と油断せず、食事をはじめとした生活習慣を正していくことが大切です。体調が安定しているときは積極的にウォーキングなどの有酸素運動をするなどを心がけましょう。

引用元:
中性脂肪の高さは妊娠に影響する?(ウーマンエキサイト)