米国予防医学専門委員会(USPSTF)は10日、出産が可能な、または妊娠を考えているすべての女性に、葉酸サプリメントの摂取を推奨すると発表した。先天異常リスクを低下させることが目的だという。

2009年に葉酸サプリメントを推奨する勧告を米国医師会雑誌(JAMA)に発表した有志の専門家らによる独立組織のUSPSTFは今回、新証拠を再調査した上で、先の勧告を更新した最新の報告書をJAMA誌に発表した。

 USPSTFは最新の勧告でも前回と変わらず、妊娠が可能または妊娠を計画している女性に対し、葉酸400〜800マイクログラムを含むサプリメントを毎日摂取するよう呼びかけている。

 緑葉野菜、マメ科植物、かんきつ類などの食物中に自然に含まれる葉酸は、胎児の脊椎や脳にある種の発達異常が生じるリスクを低減できることが、複数の研究で証明されている。

 だが、1990年代から米国を含む世界約80か国で実施された、穀物に葉酸を添加して栄養価を高める計画が、サプリメントの必要性に影響を与える可能性があるかについては、科学者の間で議論が続いていた。

 USPSTFが発表した報告書によると、再調査の結果、「米国の女性の大半は、最善の効果を示すのに必要とされる量の栄養強化食品を摂取していない」ことが分かったという。さらに、出産適齢期の米国女性のうち、葉酸サプリメントを毎日摂取している人は全体の3分の1未満であることも判明した。

「臨床医らは、妊娠が可能なすべての女性に、葉酸アプリを毎日摂取するよう勧告するべき」で、「サプリ摂取の効果が最もよく現れる時期は、受胎の少なくとも1か月前に始まり、妊娠の最初の2〜3か月間を通して続く」と報告書は続ける。

■脳と脊椎の先天異常

出産適齢期にある女性らには、新生児の脳と脊椎に発生する先天異常を回避するために、葉酸の摂取が以前より強く推奨されていた。

 米公衆衛生局(PHS)は1992年、ビタミンB群サプリが二分脊椎と無脳症の発症リスクを有意に低下させることを示した研究結果を受けて、出産適齢期にある女性に葉酸400マイクログラムの毎日の摂取を推奨する勧告を発表した。

 米疾病対策センター(CDC)によると、先天性奇形症の中で最も多い疾患の一つである神経管欠損症は、米国の生児出生10万件につき約6.5件で発症しているという。

「最新の推定によれば、葉酸サプリ摂取により、毎年約1300件の出生で神経管欠損症の発症が回避される」と、USPSTFの報告書は指摘している。一方、葉酸サプリ摂取に関連するリスクは総じて「低リスクの域を超えない」と判断された。

 今回の報告書に合わせて米医学誌「JAMA小児科学(JAMA Pediatrics)」に掲載された解説記事によると、神経管欠損症を予防する最良の方法は、早期のサプリ摂取だという。

 米テキサス大学健康科学センター・ヒューストン校(University of Texas Health Science Center at Houston)のローラ・ミッチェル(Laura Mitchell)教授は、解説記事に「神経管欠損症は妊娠の初めの2〜3週以内に発生するため、女性が妊娠する前から推奨量の葉酸を摂取していることが重要になる」と記している。

「米国の妊娠の約半数が計画外妊娠であることから、USPSTFの勧告は、妊娠の計画性の有無にかかわらず、すべての妊娠がこの予防措置の恩恵を受けられるように、妊娠と出産が可能な年齢期間にある全女性に適用される」と、ミッチェル教授は述べている



引用元:
葉酸の毎日摂取、出産適齢期の全女性に推奨 米国専門委(AFP=時事)