本をひもとくことで、子供も大人と同じようにさまざまな能力を身につけられる。知識、想像力、表現力…。一緒に本を選んだり、読み聞かせをしたりして、親子で楽しく書物と触れ合うことが、読書の習慣を身につける第一歩となる。(油原聡子)
◆論理的思考育む
子供が読書から習得できる能力の一つが「読解力」。文章が「何について書かれているのか」や、筆者が「何を伝えたいのか」を想像する力だ。
「読解力がなければ、国語以外の科目の問題を解くのも難しい」。ベネッセ教育総合研究所初等中等教育研究室の邵勤風(しょう・きんふう)室長はこう指摘する。
さらに「生きる力」にも影響を及ぼす。物語を読み、登場人物の気持ちや背景を知ることが、コミュニケーション能力を伸ばすことにつながるという。
同研究所が東京大社会科学研究所と共同で小学1〜3年の保護者4707人を対象にした調査(平成27年)によると、子供の平日1日の読書時間が1時間以上の家庭では、45・4%が「子供が論理的に考えることが得意」と回答。一方、読書をしない家庭では21・4%にとどまった。
◆発達に応じて
子供を本に親しませるためには読み聞かせが効果的とされる。ベネッセ教育総合研究所が小学1年の保護者544人を対象に行った調査(27年)では、就学前の5〜6歳で保護者が読み聞かせをしているほど、小学1年になったときに1人で読書する頻度が高いことが判明した。
「1人で読書をほとんど毎日する」小学1年の割合は、5〜6歳時の読み聞かせが「週に3〜4日以上」の場合は38・7%。これが「週に1〜2日」なら32・4%に減り、「月に1〜3日以下」では22・9%となる。
「読み聞かせは、本の世界を楽しむきっかけになる」と話すのは同研究所次世代育成研究室の高岡純子室長。発達に合わせた読み聞かせの方法が重要になると強調する。
0〜1歳は、内容の分かりやすい絵本を、子供を膝の上に乗せて読むのがお勧め。語彙が増えてくる2歳頃からは、内容を理解できるようになってくるので、子供の質問に丁寧に答える。4歳頃からは絵本を細部まで楽しむようになるため、内容をより深く味わえるように淡々と読む。
小学生になっても低学年のうちは続けた方がいい。「文字を読むことと内容を味わうことを同時に行うのはまだ難しい」(高岡室長)からだ。
◆強制しない
本選びは子供が好きなものを選ぶのが一番だが、幼児期は難しい。
「子どもを本好きにする10の秘訣(ひけつ)」(実務教育出版)の著者で、学習塾を展開する「花まるグループ」の講師、平沼純さんは「図書館の司書や書店の児童書担当に相談すると、年齢に応じた適切な本を教えてくれる」と話す。
平沼さんが薦めるのが、時代を超えて読み継がれてきたロングセラーだ。「普遍的なテーマで子供が物語の世界にどっぷり浸れるようになっている」と説明する。図書館や書店に連れて行ったり、部屋にいろんな分野の本を置いたり、本が身近な環境を作り出すといい。
注意したいのが、親の関わり方。読書を強制すると逆効果になりかねない。「読み終わったら感想を説明して」「ほかの本を読みなさい」などは禁句。
「良質な児童書は、大人が読んでもおもしろい。大人も一緒に楽しんでほしい」。平沼さんはそう話している。
引用元:
読書の習慣を身につけるには? 強制は逆効果、読み聞かせで楽しい時間持とう (産経新聞)