近年よく聞かれるようになった“化学的流産”という言葉。

ブログやインターネットの検索でもヒットしやすくなっていますが、妊活中の方やプレママは正確な情報を集めるのが大変なのではないでしょうか。

そこで、今回は化学的流産とはいったい何なのか、化学的流産を防ぐことはできるのかについてまとめ、産婦人科専門医であり医学博士の巷岡彩子先生に監修していただきました。
化学的流産って何?その症状と原因とは

まず、化学的流産とは何なのかについてご説明します。

化学的流産は別名、「生化学的妊娠」や「生化学的流産」とも呼ばれます。

尿による妊娠判定は“陽性”となったにも関わらず、エコー検査で“胎嚢”が確認できる所まで育たずに、流産してしまうことを指します。

(1)症状は生理に似て気づかない場合もある

化学的流産の症状は普段の生理と同じように出血や下腹部痛が主となります。

普段より遅れて生理がきて、その時の出血量が普段より多かったり、出血の期間も長い場合など、化学的流産の可能性もあります。

そのため、妊娠検査薬を使用していない方では、気づかないうちに化学的流産をしている事もあるかもしれません。

(2)流産してしまう原因は?

化学的流産の原因のほとんどは、胎児の“染色体異常”によるものです。

受精をした時点で、例え着床しても育つことができない、つまり“流産する運命”であることが決まっているのです。
認知のキッカケは「市販の妊娠検査薬」!?

source:https://www.shutterstock.com/
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ひと昔前に出産を経験したお母さんの中には、「化学的流産」など聞いたことがない、という方も多いのではないでしょうか。

化学的流産という言葉が認知され始めた背景には、“市販の妊娠検査薬の普及”が関係しています。

最近では、妊娠検査薬は薬局やインターネットの通信販売などで手軽に購入でき、「フライング検査」なんていう言葉の通り、生理予定日の数日前に検査をしても反応がでる程に高精度になっています。

このため、ひと昔前までは「ただ生理が遅れていただけ」と捉えられ、妊娠したことにすら気づかなかったものが、“化学的流産”であったと知ることができるようになり、その認知度は高くなったと考えられます。

また、化学的流産は妊娠回数としてカウントされないのが一般的です。





化学的流産を防ぐ方法はあるの?

残念ながら、化学的流産を防ぐ方法はないとされています。

前述した染色体異常の他に、稀に感染症や、お母さんの体質などにより化学的流産となることもあるようです。

しかし、多くの場合は胎児の染色体異常によるものですので、安静にしていたからといって流産を防ぐことは難しいのです。

流産が分かった時、自身を責めてしまうママも多いのではないでしょうか。赤ちゃん自身の異常もあるので、必ずしもママに非があるわけではありません。

ただし、何度か流産を繰り返してしまっている場合には、治療の価値のあるような原因が見つかる可能性もありますので、産婦人科に相談してみてくださいね。



流産を経験した方の大半は無事に元気な赤ちゃんを授かっています。

あまり自身を責めたり、落ちこんだりしすぎず、心穏やかにマタニティライフを過ごせると良いですね。


引用元:
市販の妊娠検査薬で認知?「化学的流産」の原因と予防策とは(It Mama)