冬はノロウイルスやロタウイルスなどによる感染性胃腸炎が流行する季節です。子どもや高齢者、受験生がいる家庭では、外から家の中に持ち込まないことや家族の間で二次感染しないように吐物の処理などに注意を払う必要があります。横浜市鶴見区医師会の在宅部門総括責任者の栗原美穂子さん(看護師、ケアマネジャー)に、無理なく家庭でできる対処法や衛生について実演、アドバイスをしてもらいました。

■手洗いのポイント

 栗原さんは、「手洗いは感染予防の中でも重要」としつつも、「普通の手洗いではだめ。流水で流し落とすようにしてください」と言います。私たちが日常的に行う手洗いとはちょっと違うようです。

 洗面所の固形せっけんの使い方も注意した方がいいそうです。「固形せっけんは、せっけん受けやせっけんの裏側にウイルスが付着していることもあるので、せっけんの表面を流水で流してから使う方がいいでしょう。できれば、ポンプ式の液体のせっけんや泡状のせっけんを使うといいと思います」と話しています。

 

【手洗いの方法】

@ 手のひらをこすり合わせるようにして十分泡立てる

A 手の甲をこすり合わせるようにして洗う

B 指の先、爪の間は、指先を手のひらにこするようにして洗う

C 両手の指をクロスさせながら指の間を洗う

D 汚れやすい親指の周囲は丹念に洗う

E 手首も握るようにして洗う

F 泡は流水を使って少なくとも15秒以上かけて流し落とす

G 流水で蛇口部分を流す

H ペーパータオルで手をふく(または1回ごとに洗濯するハンドタオル)

I 手をふいたペーパータオルまたはハンドタオルで、蛇口を閉め、流水を止める

 

■トイレの感染予防

 トイレを使った後、ふたを開けたまま水を流していませんか。便器や周辺に水しぶきやウイルスなどが飛散したり、付着したりすることもあります。自分だけでなく、次に使う人のことを考えると、飛散しないようにトイレのふたを閉めて流すことは、「きほんのき」です。

 

【トイレの正しい使い方】

@ 使用後に水を流す際、水やウイルスなどが舞う可能性があるので、ふたを閉めて流す

A トイレ内の水で手を洗い、トイレ用のタオルで手をふくことが多いが、使い回しのタオルは要注意。できれば、ペーパータオルを使うほうがいい

B トイレのノブをつかんで外に出るので、もう一度、洗面所で手を洗う

C 病気の家族がトイレを使った場合、使う前に便座をトイレットペーパーなどでふく

D 便器の掃除は、次亜塩素酸ナトリウムの洗浄剤を使うといい(使うときは、注意書きをよく読んで下さい)

 

■吐物処理のポイント

 吐物を処理する際に必要なグッズは、冬の定番として用意しておくといいと言います。大半は「100円ショップ」で手に入るものです。ノロウイルスは感染力が比較的強いので、まずは処理する人の感染予防が重要です。エプロン、手袋、マスク、スリッパは最低限の必需品です。お掃除には、次亜塩素酸ナトリウムの洗浄漂白剤が必要です。次亜塩素酸系ナトリウムの漂白剤は、取り扱い注意なので「使用上の注意」をよく読んで使ってください。

 

【処理グッズ】

・エプロン(「100円ショップ」で使い捨てエプロンもある)

・ワイヤー付きマスク(鼻の凹凸部分のすき間をふさぐため)

・使い捨ての手袋(使い捨てのキッチン用手袋で可能)

・新聞紙

・キッチンペーパー

・スーパーで買い物した品物を入れて変える使い捨ての袋

・スーパーの買い物で肉や魚を入れる小袋

・次亜塩素酸ナトリウムの洗浄漂白剤(混ぜるな危険)

・汚れてもいいスリッパ

 

【掃除のポイント】

@ 吐物処理の前に自分の足元をぞうきんでふく(次亜塩素酸ナトリウムの洗浄漂白剤を水でうすめたものでしぼる)

A 飛散している吐物とノロウイルスを再飛散させずに処理するため、汚れ物を入れて捨てるために、スーパーの買い物袋を手元に用意する

B キッチンパーパーで吐物全体を広めにおおう

C 新聞紙は、吐物をふきとったキッチンペーパーなど汚れた物を一時的に置いてくるむために、きれいな床に広げる

D 次亜塩素酸ナトリウムの洗浄漂白剤を水でうすめたものでぞうきん2〜3枚をしぼっておく

E 新しいキッチンペーパーを次亜塩素酸ナトリウムの洗浄漂白剤を水でうすめたものでぬらし、それで先ほどキッチンペーパーでおおった吐物をぬぐいとっていく

F 吐物をぬぐいとったり、床をふいたりするときは、周囲から中央に向かって集めるようにする

G ぞうきんで床をふく際は、別のぞうきんで2回以上でふく

H 汚れた物は、新聞でくるみ、スーパーでもらった使い捨てのゴミ袋に入れる

 

【掃除した時の衣類の脱ぎ方】

@ スリッパの裏が汚れているので、キッチンペーパーを次亜塩素酸ナトリウムの洗浄漂白剤を水でうすめたものにひたしてふく

A 使い捨ての手袋は、片手でもう一方の手袋を引き抜き、残った手袋は、汚れていない中側を手首部分から指でつかむようにして裏返すように外す

B マスクは両端の内側をつかむようにして外し、裏返してゴミ箱に捨てる

C これらは、使い捨ての小袋に入れて密封する

D エプロンは内側をつかむようにして脱ぎ、洗濯前に次亜塩素酸ナトリウムの漂白剤で下洗いをする

 

■汚れた寝具の片付け方

 「ベッドや布団での吐物や汚物の処理方法する方法にも注意が必要」と言います。エプロンも、「100円ショップ」に行くと、介護用品売り場に使い捨てエプロンがあり、このようなものを用意しておくこともできます。

 

【枕元で吐いてしまったら】

@ 吐物で汚れた部分をペーパータオルで広めにおおう

A 吐物をくるむようにとる

B 汚れた物は、廃棄用の袋に入れる

C 寝具の上に残った汚れを新しいキッチンペーパーでふきとる

D 次亜塩素酸ナトリウムの洗浄漂白剤を水でうすめたものでしぼったぞうきんを使い、寝具をふく

E 汚れた枕カバーやシーツ、布団カバーを外し、次亜塩素酸ナトリウムの漂白剤で下洗いしてから洗濯する

F カバーを外した寝具は、次亜塩素酸ナトリウムを水でうすめたものでしぼったぞうきんで、たたくようにふく

G 寝具を天日干しした後に掃除機で汚れた部分を吸う

H エプロン、手袋、マスクの順番で外す

 

 栗原さんは、これらのような2次感染予防だけでなく、「まずは十分は睡眠と栄養を取るなどして、免疫力を高めておくことが大切です」と話します。

 

<アピタル:ニュース・フォーカス・オリジナル>


引用元:
訪問看護師が教える! 家庭でできるノロウイルス対策(朝日新聞)