トイレ処理など気を配る / 赤ちゃんの存在に慣らす


赤ちゃんのにおいのするタオルをかがせて、ごほうびをあげる。「良いイメージを持たせてあげることです」と村田さん(神戸市で)
赤ちゃんのにおいのするタオルをかがせて、ごほうびをあげる。「良いイメージを持たせてあげることです」と村田さん(神戸市で)





 ペットを飼っている家庭で、新たに赤ちゃんを授かるケースもあるだろう。妊娠中や産後の暮らしで、どういう点に気を配ればいいのだろうか。

 神戸大産婦人科教授の山田秀人さんは「ペットには細菌や寄生虫がいることもある。過剰に神経質になることはないが、触った後は手洗いし、ペットにキスはしないなど妊婦は衛生面に気をつけてほしい」と話す。

 特に知っておきたいのが、猫のふんなどにいる原虫、トキソプラズマだ。妊娠中に初めて感染すると、流産や子どもの視力障害を引き起こすことがある。

 日本人の妊婦の約9割は抗体を持っていないとされ、妊娠初期に抗体検査を受けておきたい。検査は保険適用外だが、産婦人科で数百円程度で受けられる。

 既に感染して抗体を持っていれば心配はないが、抗体がない妊婦は感染しないよう注意する必要がある。山田さんによると、年間200人が胎内でトキソプラズマに感染していると推定される。「飼い猫のトイレ掃除をする場合は、手袋をするなどして予防して」と呼び掛ける。

 猫のふんの中のトキソプラズマが感染力を持つようになるには、24時間以上かかるとされる。早めにトイレの掃除をしておけば、より安心だ。山田さんは「妊娠中は、新たに猫を飼うのは控えた方がいい」とアドバイスする。

 庭などでガーデニングを行う場合も、野良猫のふんが混ざっている恐れがあり、手袋をする。妊婦が生肉や、加熱が不十分な肉を食べてトキソプラズマに感染することが多いので、しっかり加熱する。

 赤ちゃんがアレルギー体質の場合、花粉やダニなどと同様、ペットの毛がアレルギー反応を引き起こす原因になりうる。ブラッシングや掃除をこまめに行い、清潔さを保つ。赤ちゃんを床の上に寝かせておくと、ペットがじゃれたり、踏んだりすることもある。ベビーベッドに寝かせるなどして対応したい。

 兵庫県内の自営業の女性(41)は子猫を飼った後、3人の子どもを出産した。妊娠中は猫のトイレの処理に気を配り、出産後はベビーベッドに蚊帳を付けて猫が入ってこられないようにした。「子どもはペットと共に過ごすことで、弱いものをいたわる気持ちが育った」と実感する。

 赤ちゃんを迎える前に、ペットが戸惑わないよう新生活に慣れさせておくことも必要だ。もみの木動物病院(神戸市)副院長で獣医師の村田香織さんは「赤ちゃんは良いもの、という印象をペットに持たせることが大事」と話す。

 例えば、妊娠中から友人の赤ちゃんの泣き声をスマートフォンに録音してペットに聞かせながらおやつを食べさせる。産後の入院中に赤ちゃんの下に敷いたタオルを夫らが持ち帰り、においをかがせて、食事を与えてもいい。

 また、赤ちゃん専用の部屋を作る場合は、妊娠中から出入りさせない。散歩の担当が夫らに変わる時は、徐々に回数を増やして慣らしておく。

 赤ちゃんのためにも、ペットのためにも、十分な準備で新しい生活を迎えたい。




 ■ペットのいる家庭で、赤ちゃんが生まれる際の注意点

 ・妊婦は妊娠初期に、トキソプラズマの抗体検査を受ける

 ・抗体がない場合は猫のトイレ掃除は手袋をはめて行う

 ・赤ちゃんがアレルギー体質の場合、ペットのブラッシングや部屋の掃除をこまめに行う

 ・妊娠中からペットに赤ちゃんの泣き声を聞かせたり、においをかがせたりしながらおやつなどを与え、「赤ちゃん=良いもの」と印象づける

 ・産後は忙しくなる。妊娠中にペットの健康診断をして、早めの治療を心がける

  (山田さん、村田さんの話を基に作成)


引用元:
妊娠や赤ちゃん、ペット同居の注意点(YOMIURI ONLINE)