さまざまな細胞や組織になれるマウスのES細胞(胚性幹細胞)から、体外の培養のみで精子を生み出す基となる「精子幹細胞」を作ることに、京都大医学研究科の斎藤通紀教授や石藏友紀子研究員らのグループが成功した。ヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)から精子を作る技術の開発につながる成果で、米科学誌セル・リポーツで7日発表する。

 斎藤教授のグループは、マウスのES細胞やiPS細胞から精子を既に作製している。今回の精子幹細胞の作製は、体外の培養のみで精子を作る上で重要なステップとなる。また精子幹細胞は、大人の雄の精巣に移植すれば精子を作れるため、男性不妊治療への応用も可能となる。

 従来の方法ではES・iPS細胞から精子幹細胞の前段階である「始原生殖細胞」を作り、それを子どもの雄の精巣に移植して精子にしていた。グループは今回、ES細胞から作った始原生殖細胞をマウス胎児の精巣の細胞とともに約20日間培養することで精子幹細胞を作製した。この精子幹細胞を大人のマウスの精巣に移植して精子を作り、その精子を使って健常な子どもができることを確認した。

 ヒトiPS細胞から精子を作る技術の開発に関しては、斎藤教授のグループが始原生殖細胞の作製までは成功している。斎藤教授は「人の場合は、胎児の精巣の細胞をヒトiPS細胞を使って作製し、その細胞と始原生殖細胞を一緒に培養して精子幹細胞を作ることが目標であり、研究を進める」と話している。


引用元:
ESから体外培養で精子幹細胞 京大グループ、不妊治療に期待 (京都新聞)