妊娠中に運悪く虫垂炎や胆石症になってしまう女性もいます。治療に使う薬にもリスクはありますが、手術はどうでしょうか。実際に手術をした人の統計から、子どもに与える影響が推計されました。



妊娠中の非産科手術のリスクを推計

イギリスの研究班が、妊娠中に産科的理由以外の手術を受けた女性について、生まれてくる子どもにどの程度の危険性があるのかを統計データから推計し、外科専門誌『Annals of Surgery』に報告しました。

この研究では、イギリスの2002年4月から2012年3月まで10年分の統計を解析することで、手術の影響が計算されました。統計データには6,486,280件の妊娠に関するデータが含まれました。



手術287件のうち死産1件

産科的理由以外の手術で最も多かったのが腹部の手術で、全体の26.2%を占めていました。腹部の手術として虫垂切除術(虫垂炎の治療)、胆嚢摘出術(胆石症などの治療)などがありました。

解析から次の結果が得られました。


我々は、外科手術287件の増加が死産1件増加に関連し、手術31件が早産1件、手術39件が低出生体重児1人、手術25件が帝王切開1件、手術50件が長期入院1件の増加に関連すると推計した。

手術をしなかった人に比べて、手術287件に対して子ども1人の割合で死産が増えると推計されました。ほかの悪い結果については次の割合が計算されました。
•死産:手術287件のうち1人
•早産:手術31件のうち1人
•低出生体重児:手術39件のうち1人
•帝王切開:手術25件のうち1人
•長期入院:手術50件のうち1人

この数値には、手術をする原因となった病気による影響も含まれている可能性があります。

研究班は推定値について「[...]産科以外の手術に関連するリスクは相対的に低いとわかった」と結論しています。



妊娠中の手術は安全?

妊娠中の手術のリスクの推計が示されました。手術を287件すると1人の死産が増えるというのは多いのでしょうか、少ないのでしょうか。

もともとの死産の割合と見比べるとイメージしやすいかもしれません。2015年の人口動態統計によると、すべての出産(出生+死産)1000人のうち死産は22人です。出産50人のうち1人以上は死産ということです。

妊娠は「病気ではない」と冷たい言い方をする人もいますが、親子ともにさまざまな要素から影響を受けやすく、守られなければならない時期です。

かつては妊娠・出産によって命を落とす母親も大勢いました。しかし手術ほかの治療技術が進歩したことで、ほとんどの場合で母親の命は救えるようになりました。2015年の妊産婦死亡率は出産10万に対して3.8です。死産率も減る傾向にあるのですが、母親を救うことはより確実にできるようになりました。

妊娠中に手術が必要になるのは不運で危険なことです。母親にも子どもにも危険が迫っている状況ですが、手術287件に対して1人の死産という数字は、ほとんどの場合は無事に済むということです。万一の場合に注意が必要とはいえ、怖がりすぎて冷静な判断ができなくならないように、「手術になったからといって極端に危険なわけではない」というイメージを持っておいてください。


引用元:
妊娠中に手術になったら赤ちゃんはどうなる?650万人のデータを分析 (MEDLEY)