プレママ・ママならば、必ず名前を聞く「会陰切開」。

名前からしてなんだか痛いし、初めて出産をされるお母さんはなかなか想像しがたいもの。

先輩ママの話を聞くと、当日突然切られると言うし、麻酔もしないって言うし……と不安になる方多いのではないでしょうか。

今回は、そんなママたちのために、この“会陰切開”について徹底解説していきたいと思います。
トイレもできない!? 「会陰裂傷」との違い

source:https://www.shutterstock.com/
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会陰切開と同じように名前を聞くものに、「会陰裂傷」があります。

どちらも文字だけ見ると痛そうな言葉ですが、この2つ何が違うのでしょうか。

会陰裂傷とは、出産時に会陰部が裂けてしまうことを言います。

産婦人科学会では、この会陰裂傷を以下の4パターンに分類しています。


・第1度:会陰部の皮膚のみが切れてしまう

・第2度:会陰の筋肉部まで切れてしまう

・第3度:肛門入り口まで切れてしまう

・第4度:肛門の粘膜や直腸まで切れてしまう

第3度以上となると、お通じを我慢することができなくなるため、便失禁をしてしまう人が多いです。

また、そうすることで傷口が便で汚染されて感染する可能性があります。



ひと口に「会陰切開」といっても3つの方法がある

一方の会陰切開とは、出産時に会陰や膣まで切れてしまうことを防ぎ、胎児摘出までの時間を短縮し、母子ともに安全に分娩ができるよう、会陰部を切ることを言います。

会陰切開は、切開の仕方によって3種類に分類されます。

(1)正中切開法

膣から肛門方向に向かって縦方向に切開する方法です。

他の切開法よりも切開した大きさとより開大できること、痛みや出血が少なく、縫合もしやすく、出産後、傷がズレにくいことが特徴となります。

しかし、切開した傷が、出産の経過によって肛門付近に達してしまう可能性があるため、あまり選択はされません。



(2)正中側切開法

膣から5時または7時の方向に向かって2〜3cmほどななめに切開をする方法で、肛門の損傷を避けることができるため、今、最も多く行われている切開法です。

しかし切開創が小さすぎたり、傷が外側にずれすぎると出産時に別の部位で会陰裂傷を起こす可能性があります。

また、斜めに切っているという特徴から、会陰部の腫れや痛みは長引きやすいと言われています。
(3)側切開法

正中側切開法よりさらに外側に向かって切開をする方法です。

会陰が極端に短かったり、肛門が切れてしまう危険性があると判断された場合に行われます。

筋肉群を傷つけるリスクが少なくなりますが、出血量は多くなります。

また、斜めである性質上、歩行時に痛みが強く出てしまう場合もあることが特徴です。



どの方法も切開後は、縫合を行い、後に抜歯をします。

一般的には絹糸を使用するものの、近年では抜糸時の痛みを与えないために吸収糸(溶ける糸)を使用する場合もあります。

切開は、出産中であるため、麻酔を使用せずに行うのが基本となりますが、出産の痛みが強いこともあり、「切開されていることに気づかなかった」「チョキチョキと音はしたが痛くなかった」というママが多いようです。

出産の覚悟があれば、切開自体に怖がることはあまりないのかもしれません。



「会陰切開」は健康保険が適用される

source:https://www.shutterstock.com/
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会陰切開をすることによって、肛門部などの筋肉層の裂傷の回避、子どもとお母さんの安全が確保されるといわれていますが、一般的に、会陰切開するかどうかは医師の判断によります。

現在の産婦人科医療では、会陰切開をすることがルール化されているようですが、お母さんの意向を受け入れる方向としている病院が増えているため、母体に危険がなければ、会陰切開を選択しない病院も増えています。

また、出産は保険適用とならないのですが、会陰切開をした場合は、健康保険の適用となります。

保険適用となった場合には、医療保険が下りる場合もあるため、医療保険に加入している方はそこも併せてチェックしておくと良いでしょう。



お母さんと赤ちゃんの安全を守るために行われている会陰切開。

会陰切開に対して不安がある場合は、出産前に医師に相談してみてください。

きっとお母さんにぴったりな方法を提示してもらえるはずですよ。


引用元:
会陰裂傷と何が違うの?聞くだけで痛くなる「会陰切開」徹底解説(It Mama)