京都府立医科大学は9日、重い先天性心疾患の女児の体内で代用血管の組織を作製し、心臓と肺をつなぐ血管の拡張手術に使ったと発表した。手術は成功し、現在4歳の女児は幼稚園に通っているという。同大によると、代用血管を心疾患の手術に使ったのは世界で初めて。
 女児は北九州市在住。心臓と肺をつなぐ肺動脈がなく、酸素吸入器が常に必要な状態だった。
 2歳だった2014年7月、心臓を覆う心膜を使って肺動脈を形成する手術を受け、腹部に医療用シリコンチューブを埋め込んだ。2歳9カ月だった15年4月には、心膜から作った肺動脈と、肺につながる末梢(まっしょう)血管の結合部に代用血管を埋め込み、血管が将来狭くなるのを防ぐ手術を受けた。
 代用血管は、体内からシリコンチューブを取り出し、周囲に形成された本人の皮下組織から作製した。人工血管と異なり、女児の成長に合わせて太い管に取り換える手術が不要という。
 手術を行った小児心臓血管外科の山岸正明教授は「移植と異なり薬物の投与も不要で、将来は妊娠、出産も可能だ」と話した

引用元:
体内で作製、血管移植=先天性心疾患の女児−京都府立医大(時事通信)