顕微鏡で観察しながら針で精子を卵子に直接入れる「顕微授精」で生まれた男性の精子の濃度や運動している精子の数は、通常の妊娠で生まれた男性の精子より低かったとする研究結果をベルギーの病院グループが英医学誌「ヒューマン・リプロダクション」に発表した。

 この病院は1992年に世界で初めて卵子の細胞質に精子を注入する顕微授精での妊娠・出産を成功させ、生まれた子どもたちを長期的に調査している。

 92〜96年に父親に不妊の原因があり、顕微授精で生まれた18〜22歳の男性54人を、通常妊娠で生まれた同年齢の男性57人と比べた。

 体格に違いは見られなかったが、精子濃度や運動する精子の数は、通常妊娠で生まれた男性に比べ、平均して半分ほどで、世界保健機関(WHO)による精子濃度と総精子数の標準値を下回る人の割合が3〜4倍高かった。ただ、独協医科大越谷病院の岡田弘主任教授(泌尿器科)によると、不妊治療が必要になるかは評価できないという。一方、父親の精子の異常の程度と、子の異常の程度は必ずしも一致しなかった。グループは「不妊の要因が遺伝するかは、より詳細な遺伝子分析が必要」とする。


引用元:
顕微授精で出生の子、精子機能低い傾向 ベルギーで調査 朝日新聞デジタル