出産を控えたプレママにとって、新しい生命の誕生は大きな喜びであり、期待に胸を躍らせながら来るべきその日を心待ちにしているはず。その一方で、これから始まる赤ちゃんとの生活に、ちょっぴり不安を募らせているプレママも多いのでは。東邦大学医療センター大森病院産婦人科の森田峰人教授らは今回、出産を控えたプレママに向け、赤ちゃんの「泣き」と「沐浴」について分かりやすく概説してくれた。詳細は、同大学のホームページ内に掲載されている。


赤ちゃんの泣きは大切なサイン

 言葉を話せない赤ちゃんにとって、泣くことは大切な意思表示だ。「お腹が空いた」「おむつを替えてほしい」「眠い」などの様々なサインを、泣くことでママに発信している。

 近年の研究では、赤ちゃんの泣きには全世界で共通のパターンがあり、赤ちゃんは発達しながら泣くものだ、ということが分かってきたという。一般的に、赤ちゃんの持続する泣きは生後2〜3週頃から始まり、1〜2カ月でピークを迎える。多くは生後12週(3カ月)頃まで続くが、中には5〜6カ月まで続く子もいるようだ。

 ママにとって出産直後は、里帰りで実父母が近くにいたり、パパがお休みを取ってくれたりと、比較的支援者の多い時期だ。しかし、産後1カ月を過ぎると、育児を手伝ってくれる人は徐々に少なくなる。そこへ、赤ちゃんの泣きのピークが重なる。この時期は、家事や育児を一緒に手伝ってくれる人の存在が欠かせない。そこで頼りになるのは、やっぱりパパだ。



 パパが、赤ちゃんの扱いはママにはかなわないと感じるのは無理もないこと。「ただそれは、赤ちゃんが産まれてから一緒にいる時間が、ママの方がパパよりちょっとだけ長く、慣れたから。それならば、パパも慣れてしまえばいいのです。おっぱいをあげること以外はパパにも全てできます」と森田教授ら。

泣き続ける赤ちゃんへの対処法

 赤ちゃんがなかなか泣き止まないと、親の不安は募る。そのような時の対処法として、森田教授らは次の3つを挙げる。


1.泣く理由を探してみる
●赤ちゃんが泣き始めたら、できる限りその都度対応しましょう。
●赤ちゃんに話しかけながら、泣いている理由を考えてみましょう。
2.なだめる。そして、赤ちゃんの「お気に入り」を探す
●赤ちゃんの過ごしやすい環境に近づけたり、授乳をしたり、抱っこをしたりしてみましょう。
●様々な「なだめ方」「あやし方」を試して、赤ちゃんの「お気に入り」を探してみましょう。
3.自分の心をリセットする
●なだめても泣き止まないときは、安全を確認して赤ちゃんを仰向けに寝かせ、数分間その場を離れましょう。ただし、様子を見てあげることは忘れないように。
●深呼吸をしてから、もう一度赤ちゃんのもとへ戻りましょう。
                                (東邦大学医療センター大森病院HPより)

沐浴で赤ちゃんとパパの絆も深まる

 「沐浴」とは、新生児をベビーバスで入浴させることだ。新生児は抵抗力が弱く、病気に感染しやすい。大人用の浴槽では深くて危険ということもあり、必ず赤ちゃん専用の清潔なベビーバスに入れるよう、森田教授らはすすめている。

 沐浴には、赤ちゃんを清潔に保つ以外にも様々な効果や利点がある。



 森田教授らは、沐浴に際しての注意点を以下に挙げる。


1.時間帯について
●授乳前後30分〜1時間は避けましょう。
●生活リズムを整えるためにも、できるだけ毎日一定の時間を選びましょう。比較的余裕のある日中の暖かい時間帯がおすすめですが、ご家族の状況に合わせて安全に行えるタイミングがあれば、そちらを優先してください。
2.入浴時間と環境について
●入浴時間は5分程度、着替えを含めて10〜15分程度で終えるようにしましょう。
●室温は26度前後とし、すきま風が入らないか確認しましょう。
●お湯を運んだり、捨てたりするのに便利で楽な場所を選びましょう。
                                (東邦大学医療センター大森病院HPより)

 ただし、赤ちゃんの体調が普段と違うようなら、沐浴は避けたほうがいい。そんな時は、1日1回、肌着を替える、顔や口を絞ったガーゼで拭く、皮膚の重なる首・わき・お尻などは部分的に拭く―などを心がけるといいそうだ。

 森田教授らは沐浴ついて、「手順をかかりつけの産婦人科に相談しながら、慣れていくことが肝要だ」とし、加えて「パパと赤ちゃんの絆を深める意味でも、パパの協力も得ながら行うといいでしょう」とコメントしている。パパとママが育児に対し協力し合うことで、夫婦の絆もぐっと深まるのではないだろうか。


引用元:
泣き止まない赤ちゃんにできる3つのこと (あなたの健康百科編集部)