厚生労働省は、父親の育児参加を進めるため、法定の育児休業期間の延長に合わせ、期間の一部を父親に割り当てる検討に入った。「パパ・クオータ制」と呼ばれ、先進地の北欧などで導入されている。厚労省は最長1年半の育休期間を2年に延長する方針で、その一部を父親の割り当てとすることを軸に調整する。年末までに労働政策審議会の分科会で結論を得て、来年の通常国会で関連法改正案の提出を目指す。

 パパ・クオータ制は、ノルウェーが1993年に導入し、北欧を中心に広まった。ノルウェーの場合、育休は最長で59週間取得できるが、うち10週間は配偶者が交代して取らないと権利が失われる。今では大半の父親が利用しており、働く女性の出産・育児がしやすくなることで、女性の出生率も向上した。

 日本の昨年度の育休取得率は、女性が81.5%に上る一方、男性は上がっているものの依然2.65%と大きな差がある。父親の育児参加を促すため、現行でも父親と母親の両方が育休を取った時は原則1年の休業期間を2カ月程度延長できる制度があるが、利用率は男性が3%、女性は1.9%と低迷している。

 厚労省は育児・介護休業法で定める育休期間の延長とセットでパパ・クオータ制を導入したいとしており、例えば母親が育児休業を1年半取得し、延長を希望する場合は、父親に3カ月や半年分を割り当てる仕組みを検討している。

 制度導入を求めていたNPO法人ファザーリングジャパンの安藤哲也代表理事(54)は「働き方の改革や女性の活躍にもつながる。取得を促すには、給付金の増額や企業への働きかけなど、政府が総合的なパッケージを示すべきだ」と指摘する。【阿部亮介、有田浩子】

引用元:
<育休>延長分の一部、父親に割り当て…厚労省、法改正検討(yahooニュース)