自治体の乳がん検診で行うマンモグラフィー(乳房エックス線撮影)で異常が見えにくい高濃度乳腺の人が適切な検診を受けられるよう、日本乳 癌がん 検診学会などが作業部会を設置し、対策の検討を始めた。マンモグラフィーの弱点をカバーできる超音波検査を自治体が導入する場合、どのような体制が必要か検討する。

 マンモグラフィーは、国が推奨する唯一の検診方法だが、乳腺密度が濃いと乳房全体が白く映り、異常の有無がわかりにくい。日本女性の半数以上がこのタイプという。現状では、判別困難でも「異常なし」と通知されることが多く、見落としにつながりかねないことが問題視されていた。

 日本乳癌検診学会、日本乳癌学会、NPO法人・日本乳がん検診精度管理中央機構の作業部会は、自治体が検診で超音波検査を導入した場合に必要な医師や技師の人数を概算。講習会の回数や費用、機器の整備など具体的課題を整理する。判別困難な人へ独自に通知する自治体も徐々に増えており、その後の検査受け入れのあり方も話し合う。

 日本乳癌検診学会理事長の大内憲明・東北大教授は「受検者には乳房のタイプを知らせるのが望ましい。一方で、通知した場合の超音波検査の受け皿をどう整えていくのか、関係団体で連携して検討していく」としている。

高濃度乳腺

 乳房には、乳腺組織の密度に応じ高濃度、不均一高濃度、乳腺散在、脂肪性の4タイプがある。高濃度と不均一高濃度は、マンモグラフィーでは異常を発見しにくい。日本女性の5〜8割はこれに当たり、乳がんになるリスクが高いといわれる。


引用元:
乳がん検診、高濃度乳腺の見落とし防ぐ…超音波検査の整備を議論(読売新聞)