鳥海山麓の涼しい気候を利用し、イタリア野菜を栽培する取り組みが行われている。栽培を手がけるのは、農業に関心のある酒田市の女性でつくる「さかた女流地域づくり塾」のメンバー。塾生21人のうち11人が会社員や学生などの非農業者だ。女性の感性と職種を超えた柔軟な発想を生かし、農業振興や魅力ある地域づくりを目指している。
市農政課によると、市内で農業を営んでいる女性は1090人(2015年)と全体の約40%を占めるが、経営の主体は男性が担っているのが現状。同塾は昨年6月、女性農業者の育成や女性目線での消費者ニーズの把握などを目的に、市の事業として始まった。
塾生で、同市豊里の農業、伊与田明子さん(42)は「子供に食べさせられる安全な野菜づくりなど、女性ならではの視点で取り組めることがあるはず」と活動の意義を強調する。
活動を重ねる中で、昨年11月に横浜市に住む女性の消費者と交流した際、「安心・安全な野菜が食べたい」「オシャレな野菜があったら買いたい」などの意見が出た。塾生で夫の実家が兼業農家の東北公益文科大(酒田市)職員、池田理紗さん(29)が「挑戦してみたい」と手を挙げ、始まったのが冷涼な土地に適したイタリア野菜の栽培だった。
市内の「庄内バイオ研修センター」から、初心者でも育てやすいとされる、赤カブのような野菜「ゴルゴ」や、葉物野菜の「カーボロネロ」など6種類の苗を譲り受け、耕作放棄地になっていた同市草津の約50平方メートルの畑で、今年8月から栽培を始めた。
塾生で行う初めての農作業のため、勝手が分からず、害虫にも苦しんだ。だが、消費者は子育て世代の母親などを念頭に置いており、「木酢液を使ったり、手で駆除したりと、無農薬にこだわった」(池田さん)という。
ゴルゴは約1か月半かけて収穫できるまでに育ち、メンバーで消費したり、地元のレストランにお裾分けしたりしている。同センター主任専門指導員の栗田公司さんは「初めてにしては上々の出来」と驚いた様子で話した。カーボロネロなどの葉物野菜は寒くなって品質が良くなる11月中をめどに収穫し、横浜に送って消費者の反応をみることを検討している。
9月28日には塾生や料理人らが畑を訪れ、野菜の出来や調理法について意見交換をした。酒田市のレストラン「西洋割烹かっぽう 花月」のオーナーシェフ阿部三喜夫さんは「野菜の味が濃くておいしい。サラダやスープなどの調理法が合う」と話す。野菜を送る際にはレシピも同封し、夕飯の献立に頭を悩ませる母親の助けにしてもらう考えという。
将来的には首都圏で販売するほか、新たな特産品として地元のレストランで食べられるようにすることも目指している。伊与田さんは「女性の結束力を生かし、栽培規模を大きくしていきたい」と話し、池田さんは「宅配販売なども行いたい」と意気込んでいる。
引用元:
子育てママにイタリア野菜 酒田の女性ら考案 (読売新聞)