赤ちゃんはその名の通り、お肌が赤く見えることからそう呼ばれたとも言われています。

でも、赤ちゃんが青く見える「ブルーベビー」という言葉をご存じですか?

日本ではごく稀ですが、海外では報告事例の多い病気です。一体何が起きて赤ちゃんが青く見えるのでしょうか。実は、赤ちゃんに与える粉ミルクや水分補給での“水”が深く関わっているのです。

今回はブルーベビー(乳児メトヘモグロビン血症)とママが気をつけるべきポイントについて、クローバーこどもクリニック院長の眞々田容子先生監修のもとお伝えします。





1




進藤ゆきこ

専門家ライター。自身も子育て真っ最中の歯科医師、歯学博士。「毎日のオーラルケアをママとベビーのハッピータイムに」をモットーに、親子でお口の健康をもっと身近に感じてもらえるよう取り組んでいる



[/row]



メトヘモグロビン血症とは

メトヘモグロビン血症とは、血液中の酸素を運ぶ役目をする赤血球のヘモグロビンが、酸素の運べないメトヘモグロビンに変化した割合が高くなった状態です。

通常はヒトの血液中のメトヘモグロビンは全ヘモグロビン量の1〜2%です。それが、メトヘモグロビンの割合が一定以上になってしまうと、十分な酸素を運ぶことができず、酸欠状態になってしまい、重度の場合は死亡することもある怖い状態です。



ブルーベビーと過去の発生事例を知っておこう



乳児メトヘモグロビン血症は「ブルーベビー」ともいわれます。

乳児のメトヘモグロビン血症については、農林水産省のホームページに詳しく記載されています。農林水産省では、亜硝酸窒素および亜硝酸態窒素に関して、「食品安全に関するプロファイルシート」を作成し、ハザードを設けています。

農林水産省によれば、乳児のメトヘモグロビン血症は1945年に初めて米国で報告されました。その際の原因は、亜硝酸窒素を高濃度に含む井戸水によって起きたといわれています。

その後、北米とヨーロッパで2,000例が報告され、そのうちの7〜8%が死亡に至っています。

さらに、西ドイツでは、1959年からの7年間に、ほうれん草の中の亜硝酸態窒素により15件発生し、すべて生後3ヶ月未満であったと報告されています。

生後3ヶ月未満の赤ちゃんは、胃酸の分泌が少なく、胃内のpHが高いため、胃の中で硝酸塩から亜硝酸塩が生成され、これが血中のヘモグロビンと結合して、メトヘモグロビンの割合が高くなり、メトヘモグロビン血症を起こしやすいと考えられています。

さらに、乳児はメトヘモグロビンを還元するチトクロームb5還元酵素活性が低いこともあり、メトヘモグロビン血症を起こしやすいといわれます。

日本では、生後5〜6ヶ月頃から離乳を開始するため、胃の中で亜硝酸が生ずる可能性が低いため、ブルーベビーが起きる危険性は極めて低いとされています。

日本の事例では、1996年に亜硝酸窒素を高濃度に含む井戸水を原因とした新生児のメトヘモグロビン血症が報告されています。
ママが赤ちゃんのために気を付けたいコト


shutterstock_169550210
source:http://www.shutterstock.com/

(1)粉ミルクや水分補給で赤ちゃんに与える“水”に気をつける

母子健康手帳の「乳幼児期の栄養」のページには人工乳のつくり方が載っていますので、一度目を通しておきましょう。

気をつけたい点として、井戸水や湧き水は、雑菌によって赤ちゃんが体調を崩すことがあるため、使わないようにしましょう。井戸水は水質基準の検査に合格しているかどうかをチェックしてから使うようにしましょう。

粉ミルクを調乳する際や水分補給には、水道水、水質基準の検査に合格した井戸水や、ミルク調乳用の密封容器に入った水などを、一度沸騰させて70℃以上のお湯でミルクを溶かして、充分に冷まし、体温くらいになっていることをチェックしてから与えましょう。



(2)離乳食は5、6ヶ月以降からスタートする

西ドイツでの事例のように、野菜に含まれていた硝酸塩から亜硝酸塩が生成されることがあるようです。

離乳食は5〜6ヶ月から与え始めるようにしましょう。母子健康手帳にも記載されていますが、離乳開始前に果汁や野菜ジュースなどを与える必要はないといわれます。



いかがでしたか。

原因が私たちの身近な水などに起因するのだとしたら、赤ちゃんを守るためにも、きちんと乳児のメトヘモグロビン血症を理解しておくことが第一歩ではないでしょうか。


引用元:
ブルーベビーって知ってる?「粉ミルク」「離乳食」でママが気をつけたいコト(It Mama)