「こんなに大事なことをなぜ学校で教えてくれなかったのかしら」とある女性政治家が話していた。男性は毎日、精子を作ることができるが、女性は生まれた時にもっていた卵子の元になる細胞を大切に使っていく。年をとると、いわゆる「卵子の老化」で不妊治療の成功率は下がっていく。

 だが、男性も年をとるにつれ、精子ができる際の遺伝情報の複製ミスで、変異が起きやすくなることがわかってきた。突然変異をもつ受精卵ができると、親にはない変異が子に伝わる。これを「デノボ(ラテン語で「新たに」の意味)変異」という。アイスランドの研究では、子どもは平均60個のデノボ変異を持つ。精子由来の変異は父親が20歳で25個、40歳で65個と年齢とともに増えるが、卵子由来は15個で一定だった。

 デノボ変異の中には病気とかかわるものもある。理化学研究所脳科学総合研究センターの加藤忠史チームリーダーは、うつ状態と躁(そう)状態を伴う「双極性障害」にデノボ変異がかかわる可能性を見つけた。加藤さんは「父親の年齢が子のゲノムに影響して病気のリスクを高める可能性はある」という。気になる話ではある。(瀬川茂子)


引用元:
精子と加齢の関係(朝日新聞)