自治体が行う乳がん検診で、国が今年度、有効性が不明として推奨から外した視触診が、約半数の市区町村で継続されていることが厚生労働省の調査でわかった。





 自治体が有効と考える検診の認識にばらつきがあることが浮き彫りとなった。

 厚労省は5月、全国の1737の市区町村に検診の実態を調べる調査を実施。集団検診の視触診について、回答したうちの839自治体(52%)が今年度までに視触診をやめたが、約半数は継続していた。364自治体(23%)は「やめる予定がない」と答えた。視触診をやめない理由では、最も多い32%が「マンモグラフィーのみの検診の有効性に疑問」を挙げた。

 国指針では、乳がんによる死亡率を減らす唯一の方法としてマンモグラフィーを推奨。視触診は早期発見の効果は薄く、先進国ではほとんど行われていない。

 視触診を推奨から外す代わりに超音波検査の導入を求める意見もあるが、死亡率減少効果がまだ明らかではないことなどから、マンモグラフィー単独になった経緯がある。

 相良病院付属ブレストセンター(鹿児島市)の戸崎光宏・放射線科部長は「乳がん検診のあり方を見直す過渡期にあり、対応に苦慮する自治体が多いことを示す結果だ」と指摘する。

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視触診  医師が乳房を触り、目視して異常の有無を確認する乳がんの検診法。一定以上の大きさのしこりや乳頭からの分泌物がある場合はがんの発見につながるが、微小なしこりや病変を見つけるのは難しい。


引用元:
国が推奨しない「乳がん視触診」、市区町村の半数が継続(読売新聞)