いずれ子どもが欲しいと考える人たちの間で、将来の妊娠に向けて卵巣や精子の状態を調べる検査が注目されている。不妊につながる要素をあらかじめ知ることで、将来設計に役立てるという。晩婚化や「卵子の老化」という言葉の広がりが背景にあるようだ。
■卵子数から妊娠時期考える
不妊治療をしているIVF大阪クリニック(大阪府)に勤める30代半ばの女性は6年前、血液検査で、卵巣にある卵子数の目安となるホルモン値を調べた。
将来は出産したいが、まだ独身で、結婚や妊娠時期の目安にしたいと思った。結果は同年齢の平均値より高く、「焦らなくてもいい。自然妊娠できるかも」と安心した。近く結婚する予定で、再び検査を受けたいと考えている。
調べたのは、卵子の元になる細胞が含まれる卵胞から、発育過程で分泌される「AMH(抗ミュラー管ホルモン)」というホルモンだ。卵巣を摘出した42人の女性を調べた米国の研究では、手術前のAMHと卵巣に残っている卵胞の数に相関関係があった。
出生時に約200万個ある卵胞は、思春期には20万〜30万個に減り、閉経時にゼロに近づく。AMHの分泌も年齢とともに減る傾向だが、個人差は大きい。同クリニックの福田愛作院長によると、卵子が少なくても妊娠できるので、AMHは妊娠のしやすさでなく、不妊治療の時期や種類を選ぶ材料になる。公的医療保険の適用外で、費用は数千円〜1万円程度が多い。
超音波で子宮の形や筋腫の有無を確認したり、X線で卵管がつまっていないか調べたりする検査もある。「ブライダルチェック」として、複数の検査を組み合わせて実施する医療機関もある。福田さんは「妊娠に対する考え方を作るきっかけになる」と話す。
30代後半の女性は、6年前に検査を受けたところ、ホルモン値が平均より低かった。「将来産めなくなるかもしれない」。卵巣を休めるため、数年間、低用量ピルを飲んで排卵を抑え、昨年結婚。半年近く自然妊娠せず、体外受精で妊娠し、来年出産する予定だ。女性は「知っておけば計画的に不妊治療を進められる一方、結婚は自分だけでは決められないので、焦ってしまう面もある」と振り返る。
リクルートマーケティングパートナーズの赤すぐ総研が3月、3歳未満の子どもがいる女性約2300人に聞いたところ、「妊娠や出産ができるか医療機関で検査を受けた」と答えたのは15・5%で、14年の12・7%から増加した。大久保智子研究員は「背景として、卵子が老化するという知識が女性の間に広まり、医療機関へのハードルが下がっているのでは」と分析する。
妊娠には卵子の「質」も重要だ。東京大の大須賀穣教授(産婦人科)は、「体外受精では35歳を過ぎるころから妊娠率が急激に低下する。卵子の老化が大きな原因」と指摘する。卵子の老化は、加齢で染色体やミトコンドリアなどに異常がたまって起こると考えられている。ただ、はっきりした指標はなく、研究を積み重ねる必要があるという。
引用元:
将来の妊娠に備え卵子や精子を検査、不妊要素を知る(asahi.com )