感染力が非常に強く、高熱や発疹などの重い症状が出るはしかの感染者が、空港やコンサートなど人が集まる場所にいた若い世代を中心に、急速に広がっている。二度の予防接種を受ければ感染を防げる病気だが、三十代後半までの昭和生まれの場合、免疫がない人が多い。ワクチンを緊急接種するクリニックも出てきた。 (稲田雅文)


 岐阜市の矢嶋小児科小児循環器クリニックは四日午前、成人向けの接種を緊急に実施した。クリニックのメールマガジンで呼び掛けたところ、十一人が訪れた。


 予防接種を受けた同市の男性会社員(28)は「看護師の妻から、大人がかかると重い症状が出ると言われ、四カ月の長男にうつさないために来ました」と話す。接種歴は一回。妻の妊娠時に受けた抗体検査でも低い数値で、うつりやすいと分かったという。女性会社員(37)は「母子手帳をなくし、接種を受けたか分からないので打っておこうと思いました」と話す。


 矢嶋茂裕院長(58)は「集団感染が起きたからと動くのではなく、母子手帳などで接種歴を確認し、きちんと接種を受けておくことが大切」と指摘する。


 二〇一五年に、日本は世界保健機関(WHO)から、国内に土着するウイルスによる感染がなくなったとして「排除状態」の認定を受けた。国立感染症研究所(感染研)によると、同年の感染者数はわずか三十五人だった。


 感染研によると、今回は海外から持ち込まれたとみられるウイルスが、まず関西国際空港(大阪府)職員の間で広がった。さらに、八月十四日に千葉県の幕張メッセであったコンサートに行った兵庫県の男性(19)や、八月二十六日に東京都立川市であったアニメイベントを訪れた客がその後、感染していたことが判明。関空の対岸にある商業施設を訪れた三十代男性も感染が確認された。すでに一五年の感染者数を上回り、感染の広がりが懸念されている。


 はしかは感染力が非常に強く、空気感染や飛沫(ひまつ)感染などで、同じ時に同じ場所にいただけでも感染する恐れがある。感染の発生場所にいて、十〜十二日後に発熱した場合は注意が必要だ。


 根本的な対策はワクチン接種だが、免疫が弱く感染のリスクが高いのは、二十六歳前後から三十代後半の子育て世代だ。


 国内では一九七八年十月からワクチンの定期接種が始まり、主に一〜六歳児に一回の接種が行われたが、時間の経過とともに免疫が弱くなっている。


 九〇年度以降生まれの人は、国の臨時対策や、風疹との混合ワクチン(MRワクチン)で二回接種を受けている。逆に五十代以上は子どものころに流行し免疫がある可能性が高い。ただ、どの世代でも未接種の人はいるため確認が必要だ。


 矢嶋院長は「リスクが高いのは子育て世代なので、家族のことを考えてワクチン接種を受けてほしい」と話す。ワクチン接種希望者は、小児科のある医療機関にMRワクチンの在庫があることが多いので、問い合わせを。費用は一万円前後。


<はしか> はしかウイルスが原因で38度前後の発熱が2〜4日続き、せきや鼻水、くしゃみなどのかぜのような症状が出る。その後、39度以上の高熱が出て、顔や体に発疹が出る。通常は7〜10日程度で回復するものの、重症化すると脳炎などを引き起こし、死亡することもある。麻疹(ましん)とも呼ばれる。


引用元:
はしか 20、30代は要注意 空港や催しで感染広がる(東京新聞)