犬といえば安産の象徴。一度のお産で複数匹が生まれるため、「双子」と聞いてもピンとこないが、南アフリカの病院で生まれたアイリッシュ・ウルフハウンドの子犬は、同じ胎盤を共有し、遺伝学的に同一のDNAを持っていることが世界で初めて確認された。



 家畜専門誌「Reproduction in Domestic Animals」に掲載された研究論文によると、双子の子犬を産んだのは、南アフリカで飼われている4歳のアイリッシュ・ウルフハウンド。



 以前にもお産経験がある母犬のため、飼い主も安心していたが、2度目のお産の際には、兆候が現れて2時間が過ぎても出産が始まらないため、心配して動物病院に連れてきた。



 カート・デ・クレイマー獣医師は異常なまでに膨らんだ母犬の子宮を見て帝王切開を決行。年間何百件も手術しているクレイマー医師にとっては何も特別なことはないはずだったが、胎児を取り出そうとしてビックリ仰天。ひとつの胎盤につながる2本のへその緒の先には子犬が2匹いたからだ。



「目の前に確かな事実があるにもかかわらず、最初は自分が見ているものが信じられませんでした。一卵性双生児にしては、胸の白いブチの形がわずかに違っていましたし」とクレイマー医師。



 多産で知られる犬や猫は人間とは違って、子宮の形がYの字のように分かれた形(子宮角)をしているため、複数の胎児を同時に宿すのが一般的であるため、一腹の子は双子とは言わず、きょうだいとして扱われる。



 人間の場合、1個の受精卵が細胞分裂を繰り返して二つに分かれた状態を一卵性双生児、別々の受精卵が着床して一人に一つずつ赤ちゃんが育つ部屋(羊膜)を持つのが二卵性双生児に当たる。



 しかし、クレイマー医師が取り上げた子犬は、同じ胎盤につながっていたばかりか、同じ部屋の中に入っていたとして、極めて珍しいケースだという。



 生後2週間と6週間目に血液を採取して遺伝子解析を行ったところ、2匹の子犬はDNAが完全に一致する一卵性双生犬であることが確認された。



 この母犬は、結局7匹の子犬を産んだが、双子だったのはこの2匹だけ。犬の出産に立ち会ったことがある飼い主からすれば、「今までだって生まれていたんじゃないの?」と言いたくなるものだが、遺伝学的に双子が確認されたのは、世界で初めて。2匹のきょうだいも、ほかの5匹はゲノムが異なっていたという。


引用元:
世界初!一卵性双生児の子犬 帝王切開で判明 南アフリカ(ハザードラボ)