妊婦が砂糖や脂肪などを多く含む高カロリー食を取ることで、生まれてくる子どもが病気や肥満になりやすくなるかもしれない。

そのうえ、最近の研究によると、妊娠中の食生活の影響は子どもの世代にとどまらず、ひ孫の世代にまでに及ぶという。果たしてその真相は?


□妊婦の食生活の大きな影響
妊婦の血液は胎盤を通して胎児に運ばれる。胎児にとっての唯一の栄養は母親の血液なのである。したがって、飲酒や喫煙が胎児の発育に悪影響を与えるのと同様に、妊婦の食生活も胎児の発育に大きな影響を与えると考えられる。

さらには、生まれてくる子どもの体質にも影響が及ぶとするならば、なおさら、母親の食生活の影響はとても大きくなる。加えて、その子どものみならず、孫、さらにはひ孫の体質にまで影響があるとしたら、どんなに恐ろしいことだろうか。

ワシントン大学メディカルスクールの研究グループが、最近そんな報告を行った。


□妊娠マウスの食事、ひ孫に影響
ワシントン大学の研究グループは妊娠中のマウスに高カロリー食を与え、子孫における影響を調べた。すると、妊娠中に高カロリー食を摂取し続けたマウスの子どもは、糖尿病やメタボリックシンドロームになりやすくかったという。

さらに、その性質は第3世代、つまり、ひ孫の代にまで及ぶことが明らかになった。もちろん、この結果が人にも当てはまるかどうかの議論は必要だが、私たち人間には関係ないと軽視できる問題ではないだろう。


□親の努力は子どもに伝わるか?
あなたがいくら筋トレをしてマッチョになったとしても、筋肉質な子どもが生まれてくるわけではない。また、あなたがどんなに頑張って勉強をして豊富な知識を身に付けたからといって、天才が生まれてくるわけではない。つまり、親が生まれてから獲得した形質は、子どもの遺伝子に影響を与えない。生まれてくる子どもには受け継がれないのである。

しかし、今回のワシントン大学の研究は、この生物学の定説を覆す主張であるともいえるだろう。

彼らの主張は、「妊婦の食生活が子どもの『遺伝子』を変化させる」ということだ。もし、本当に子どもの遺伝子が変化するのなら、それは子孫にも伝わるので、彼らの主張もまかり通ることになる。


□ミトコンドリアがキー? 遺伝子への影響
研究グループは、彼らの主張の根拠として「ミトコンドリア」という細胞内の小器官に注目している。

ミトコンドリアは、細胞内でエネルギーを作り出す働きをする。このミトコンドリアは独自の遺伝子を持っており、ミトコンドリアの遺伝子は母親からのみ子どもに伝わるものである。

もし、妊婦の食生活によって母親のミトコンドリアの遺伝子に変異が起これば、それが子どもに伝わるという筋書きも成り立つだろう。研究グループは、今後それらを明らかにしていく予定だという。

妊婦の食生活がその子孫にとってどれほどの影響を与えるかについては、いまだ不明な部分が多い。しかし、子どものみでなく、孫やひ孫にまで影響を与えるとする説は決して否定できるものではないだろう。



引用元:
妊娠中のハイカロリー食はひ孫の代まで影響する? 驚きの最新研究(日刊アメーバニュース‎ )