暴力や暴言に頼らないしつけの方法を育児中の親に伝える苫小牧市の子育て講座がスタートし、今年度で3年目を迎えた。昨年度までは市民活動センター(若草町)などを会場に広く市民の参加を募る形で進めてきたが、今年度は初めて私立幼稚園からの依頼を受け、PTAを対象にした出前講座も実施し、育児に悩む保護者に喜ばれている。市は今後もできる限り要請に応じて出前講座に対応したい考えだ。

 市の子育て講座は「そだれん」の名称で行ってきたが、7月中旬から「STEP(ステップ)」に変更。名称には「しつけとは練習と教育と褒めること」という意味を込めた。

 講座の対象は3歳から小学6年生の児童の親。研修を積んだ市の職員や相談員が講師となって1回当たり2時間、全7回の講座を実施。おもちゃを片付けずに散らかしたり、ソファの上で飛び跳ねて遊んだりといった家庭でよく見られる具体的な場面を取り上げ、子供が主体的に考え、良い行動ができるようなしつけ方法を学ぶ。

 講師の一方的な解説だけではなく、ロールプレイ(役割演技)も交えて受講者が子供への声の掛け方や効果的な褒め方、親も子も冷静になれる工夫などを考えることを軸としている。

 講座は2014年度に1回、15年度に2回開き、計24人が受講した。15年度はこのほか、全7回の講座内容を2時間に縮めたダイジェスト版講座も実施し、146人が受けた。

 今年度は市内柏木町の青空幼稚園からの要請を受け、初めて出前講座にも乗り出した。PTA役員と教員7人が参加。7月下旬までに6回受講した、1人で3人の子供を育てる母親(36)は「時間がないときに限ってけんかをしたり、飲み物をこぼしたりする子供にいらだち、大きな声を上げてしまうことがよくある。今もかっとなることはあるが、講座で学んだことをふと思い出すと冷静になれる。今までとの違いを実感している」と語った。

 育児に悩む親は多く、市に寄せられた養育に関する相談件数が昨年度は延べ2569件に上り、前年度よりも約700件増加した。相談内容は家庭によってさまざまだが、市こども支援課の尾崎智右(ともあき)さんは「子供との関わり方に不安を感じている人が増えているのでは」とみる。

 尾崎さんは子育て講座の講師も務めており、「育児に関する悩みは特別なものではなく、子供を抱えるすべての家庭に付き物」と強調。大声や暴言は子供を従わせる手段として即効性はあっても、さらに子供の問題行動を招いて親のストレスを増幅させる負の連鎖につながる可能性を指摘し「親子関係を良好にするためにも、子供への接し方を学ぶことは大事」と話す。

 苫小牧市は今年度も24日まで一般受講者を募って、全7回の講座を予定。また、出前講座やダイジェスト版の出前講座の依頼にも随時対応する考えだ。「STEP」に関する問い合わせは同課 電話0144(32)6369。


引用元:
苫小牧市の子育て講座3年目 悩む親に育児の知恵(2016年 8/22)(苫小牧民報)