厚生労働省は4日の「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」(座長=北島政樹・国際医療福祉大副理事長・名誉学長)で、来年6月の閣議決定を目指す第3期がん対策推進基本計画の策定に向けた議論の整理案を提示し、おおむね了承された。施策の方向性として、がんのゲノム医療の推進やがん診療連携拠点病院(拠点病院)の指定要件の見直しといった、現行の基本計画にはない取り組みなどが示されている。今秋をめどに開かれる「がん対策推進協議会」で、北島座長が同検討会の議論の整理として示す予定。【松村秀士】

 がんのゲノム医療をめぐっては、医療機関などが患者らに対して遺伝子などに関する情報提供や心理的な支援をする「遺伝カウンセリング」の体制について一律の基準が定まっていないのが現状だ。また、質の高い臨床遺伝医療を提供するために、専門医と連携する「認定遺伝カウンセラー」が、がんを専門としていないケースが少なくないとの指摘もある。

 こうした状況を踏まえ、4日の会合で示された議論の整理案では、具体的な施策の方向性として、ゲノム医療を提供する医療機関では、認定遺伝カウンセラーや臨床遺伝専門医らで構成するグループによって遺伝カウンセリングを実施する体制を整備する必要性があると強調。その体制の整備については、「一律の基準を策定することが望ましい」とした。

 また、家族性腫瘍や遺伝性腫瘍に関する遺伝カウンセリングの体制も整備すべきと指摘。患者に対する検査で得たゲノム情報に関しては、希少がんや難治がん、小児がんの対策にも役立てられるよう、研究や臨床現場に還元できる一元的なデータベースの構築を検討する必要があるとした。

■指定要件、「特定機能病院と同レベルを」

 整理案では、拠点病院などでの医療安全に関する施策も示された。具体的には、拠点病院が医療安全管理に関する体制を確保できるよう、指定要件の見直しの必要性を強調。「医療安全に関する要件は、特定機能病院と同様の高いレベルを求めることを基本とすべき」とした。ただし、要件を見直す場合、現場の医療従事者に過度な負担が掛からないような工夫や配慮が必要とした。

 一方、がん診療提供体制に関しては、多くの二次医療圏で拠点病院などが整備されたことにより、患者がどの地域に住んでいても胃がんや大腸がんなどの標準治療が受けられる「均てん化」に一定の成果が得られていると強調。その上で、今後も拠点病院を中心に「均てん化」を推進するとともに、高い水準で治療などを行える医療機関などでゲノム医療などを提供する「集約化」を進めることも検討課題とすべきとした。

 整理案に対して、特に反対意見は出なかった。しかし、委員からは、「ただでさえ、あっぷあっぷしている拠点病院に、厳しい要件が加わることはできるだけ避けるべき」「今後はどのように均てん化するかを明確にすべき」といった声が挙がった。厚労省はこれらの意見を踏まえ、案を修正する方針

引用元:
次期がん基本計画、議論整理案おおむね了承- 厚労省検討会(CBnews)