ある種の癌(がん)には抗がん剤による治療が有効となるが、抗がん剤による副作用は患者を苦しめることもよく知られている。

 しかし、2016年の第52回米国臨床腫瘍学会年次総会で最優秀発表賞を受賞した米ロチェスター大学の研究によると、運動療法が抗がん剤の副作用の一つである痛みを緩和したという。

 今後、そのメカニズムが解明されれば、意外にもこのシンプルな療法は多くの患者を苦しみから救うことができるかもしれない。

抗がん剤は全てのがんに有効なわけではない
抗がん剤の単独治療で完治する可能性があるがんは、急性白血病、悪性リンパ腫、精巣(こう丸)腫瘍、悪性度の高い婦人科系がんの絨毛(じゅうもう)がんなどである。

 また、抗がん剤で病気の進行を遅らせることができるがんには、乳がん、卵巣がん、骨髄腫(こつずいしゅ)、小細胞肺がん、慢性骨髄性白血病、低悪性度リンパ腫などがある。がんには他にも胃がんや大腸がんなど種類がある。

 抗がん剤で全てのがんが治ると思っている方もおられるかもしれないが、残念ながら、抗がん剤はすべてのがんに有効というわけではないのだ。 

 もちろん、がんの治療は抗がん剤だけでなく、外科治療および放射線治療と抗がん剤治療を併用すると効果的ながんもあるので、抗がん剤が効かないがんだからと言ってそれだけで極度に悲観する必要はない。

抗がん剤が効くかどうかは個人によって違う やってみないと分からない
一般的に、抗がん剤が効くとされているがんでも、実際に抗がん剤が効くかどうかはやってみないと分からない。抗がん剤の効き具合には、かなりの個人差があるのだ。効かない抗がん剤による治療を受けても、副作用に苦しむだけになってしまうが、残念ながらそのような患者が多いのも事実である。

 感染症では、抗生物質を投与する前にあらかじめ検査して、その抗生物質が感染症の原因となっている細菌に効くか確かめたうえで投与する場合がある。抗がん剤も治療を受ける前に、その抗がん剤の効き目を予想できれば理想的だが、現状では、抗がん剤が実際に患者に有効か予想することはできていないのである。

抗がん剤の副作用 運動で和らぐ可能性
抗がん剤には、がん細胞を死滅させるとともに、正常な細胞も攻撃してしまう作用(薬物有害反応、いわゆる副作用)がある。理想的な抗がん剤は、がん細胞だけに作用して正常な組織には作用しないものだ。

 そこで、副作用を軽減できる可能性がある療法として注目されているのが、ロチェスター大学の研究グループが開発した運動プログラムだ。

 ロチェスター大学の研究で考案された特殊な運動プログラムは、乳がんなどの固形がんに対する抗がん剤(タキサン、ビンカアルカロイド、プラチナ製剤)を投与された患者の約60%で見られる、神経障害の副作用の一つである「痛み」を抑えることが判明したのだ。

 研究グループは、619人の抗がん剤治療を受けている患者を数年間にわたり観察・検証し、そのことを実証したのである。

 この研究では、なぜ運動が抗がん剤の副作用で起こる痛みを軽減するのか、そのメカニズムは分かっていない。しかし、研究グループは今後それらを明らかにしていくことを計画しており、そのメカニズムが解明されれば、抗がん剤の副作用で苦しむ多くの患者を救うことができるかもしれない。

参考・引用
参考
UNIVERSITY OF ROCHESTER MEDICAL CENTER Chemotherapy and Exercise: The Right Dose of Workout Helps Side Effect 
https://www.urmc.rochester.edu/news/story/4583/chemotherapy-and-exercise-the-right-dose-of-workout-helps-side-effects.aspx


引用元:
最新研究でがん治療に光 抗がん剤の副作用が特殊な運動療法で軽減(CIRCL)