【7月26日 AFP】更年期が早く始まる女性では、遅い女性に比べて老化の進行が早まる可能性があるとの研究論文が25日、発表された。この研究結果をめぐっては、加齢に関連する疾患リスクの高い女性を特定する助けとなることも示唆された。

 米科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された研究論文の主執筆者で、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)デビッド・ゲフィン医学部(David Geffen School of Medicine)のスティーブ・ホルバート(Steve Horvath)教授(人類遺伝学・生物統計学)は、今回の成果によって、長年の議論に終止符が打たれる可能性があると述べた。

 ホルバート教授によると、更年期が老化を引き起こすのか、老化が原因で更年期になるのかをめぐっては、数十年間にわたって科学者らの意見は分かれており、その状況は「ニワトリか卵かのような問題」なのだという。そのため、今回の研究を「更年期が老化のペースを早めることを実証した世界初の研究」と位置付けている。

 ホルバート教授と研究チームは、「女性の健康イニシアチブ(WHI)」として知られる、閉経後の女性を対象とした15年間にわたる調査で採集された、3100人以上の女性のDNAサンプルを分析した。

 研究チームは、血液、唾液、ほおの内側などから採取した細胞の生物学的年齢を測定することで、各女性の暦年齢と体の生物学的年齢との間の関連性を突き止めることに成功した。「更年期は、細胞の老化を平均6%加速することを発見した」とホルバート教授は述べている。

 この結果についてホルバート教授は、「大したことはないように思えるが、これが女性の生涯にわたって加算される」とし、例えば、42歳と早期に更年期が始まる女性は、50歳で更年期が始まる女性に比べて、その後の8年の間により早いペースで老化が進むと考えられる、と説明した。

 論文によると、42歳で更年期を迎えた女性が50歳になるまでの8年間で、女性の体は、50歳で更年期になった女性より生物学的に1歳多く年を重ねると考えられるという。

 血液は、更年期が始まると老化のペースが早くなると思われるため、体の他の部分も同様に老化が早く進む可能性が高く、結果として病気が引き起こされる恐れについても示唆される。

 だが、女性にとってこの知らせが意味するものは、何も悪いことばかりではない。将来的には、このDNAの経時的変化が追跡記録されている、女性のエピジェネティック(後成的)時計が、ホルモン療法などの治療を決定する際に医師らの助けとなる可能性もあるというのだ。

 ホルバート教授は、「研究者らはもはや、健康状態と病気の発生を追跡するために、患者を何年もの間、追跡調査する必要はなくなるに違いない」と指摘し、「その代わりに、細胞の老化速度を観察し、生物学的老化のプロセスを減速させるのはどの治療法かを判断するために、エピジェネティック時計を利用することができる」と続けた。「これにより、臨床試験の期間と費用が大幅に削減され、女性への早期の恩恵につながる可能性もある」という。(c)AFP
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引用元:
早い更年期で老化の進行早まる、研究で示唆(AFP BB News)