妊娠した姿を写真に残しておく「マタニティーフォト」。女性芸能人がブログなどで公表するようになったことをきっかけに、一般の女性にも広がっている。最近では、スタジオで撮影している人も増えている。妊娠しておなかが丸く膨らんだ姿は、妊娠期間中でも、数カ月だけ。「妊娠生活を楽しみたい」という考えも、マタニティーフォト人気を後押ししているようだ。(油原聡子)
「記念に残したい」
「笑顔でお願いします」「おなかの方に視線を落としてください」−。
カメラマンが声をかけると、茨城県つくば市の会社員、生田洋介さん(37)、舞衣さん(30)夫婦はにっこりとほほえんだ。妊娠9カ月の舞衣さんは、丸く膨らんだおなかにそっと手を添えている。
生田さん夫婦は、7月上旬、「こども写真城スタジオアリス」シェラトン店(千葉県浦安市)で、マタニティーフォトの撮影を行った。
舞衣さんは「最初は恥ずかしいから迷った。でも、おなかの形や大きさが子供によって違うと聞いて、写真に残したいな、と思いました」と話す。
撮影時間は1時間弱。舞衣さんは私服のほか、スタジオで用意されたマタニティードレスを着用しての撮影にも臨んだ。
「思い出になるので撮影してよかった。将来、子供が生まれたら見せてあげたい」と舞衣さん。洋介さんは「妊娠している姿は、後で撮影しようと思ってもできない。プロに撮影してもらえてよかった」と笑顔で語った。
女性芸能人がきっかけ
日本でマタニティーフォトが注目されるようになったきっかけは、女性芸能人だ。平成21年に、歌手のhitomiさんがマタニティーヌードを公表。以後、モデルの梨花さんや、木下優樹菜さんらがブログなどを通じて妊娠中の姿をアップし、一般の人にも知られるようになっていった。
マタニティーフォトを撮影できるスタジオも増えている。
こども写真城スタジオアリスでは、17年から全店舗でマタニティーフォトのサービスを始めた。撮影料は3000円(税別)で、写真が1枚無料でプレゼントされる。
当初は私服での撮影のみだったが、19年から店舗で着用できる撮影用のマタニティードレスの導入を開始した。私服とドレスと両方を着用するケースが多いという。
広報担当者は「サービス開始当初は肌を出したくないという人が多かったが、最近は、おなかを出しての撮影を希望する人が増えてきました」と話す。
こういったニーズを受け、今年から導入したマタニティードレスは、短めのトップスとつま先まで隠れるようなロングスカートのセットタイプに。おなかを出して撮影ができるのが特徴だ。
まるでアートのように
アート作品のような仕上がりのマタニティーフォトもある。
「チル・プロダクション」が都内で運営するマタニティー専門のスタジオ「ハッピーバースフォトスタジオ」では、被写体が際立つようなシンプルな作品作りが特徴だ。
同社のディレクター、徳江美希子さん(37)は「妊娠は女性の体に起きる神秘という考えで、マタニティーフォトの撮影を始めました。誰かに見せるというより『家族の始まり』の記録として残したい人が多いですね」と話す。
徳江さんは「プロのカメラマンだと、家に飾っても違和感のない出来映えになる。出産直後の写真やその後の家族写真と並べて飾るのを楽しみにしている人もいます」と話す。
50分間の撮影で、写真データのみのプランだと3万4千円(税別)になる(紙焼きや額は別料金)。
「妊娠は楽しい」
マタニティーフォト人気の背景には、女性の社会進出に加え、テレビなどメディアで出産した女性が活躍するようになり、妊娠や出産、子育てを楽しもうという雰囲気が作られたことも大きいようだ。
妊婦・出産の情報サイト「ニンプス」の編集長で、生活総合情報サイト「オールアバウト」のベビー用品ガイド、小林博子さん(36)は「妊娠して出産することがより幸せなことと認識されるようになり、『妊娠は楽しい』『妊娠中の自分は美しい』と考えられるようになってきたのではないか」と話す。妊娠中に着るマタニティーウエアも以前は、おなかを隠すタイプが多かったが、最近では強調するようなファッションも人気を集めているという。
少子化も影響しているようだ。小林さんは「女性の出産年齢も上がり、生涯で妊娠する回数も減った。妊娠を貴重な時間と捉えられるようになったことも、マタニティーフォトの人気に繋がっているのではないか」と話している。
引用元:
お腹だけ出して「はい、ポーズ!」 妊娠生活の記念にマタニティーフォトが静かなブームに… (産経新聞)