NPO法人チェルノブイリ・福島医療基金(CMF、松本市)の支援で2010年、県立こども病院(安曇野市)で研修を受けたベラルーシの産婦人科医オクサナ・テスロバさん(38)が、同国南東部ゴメリ州の保健局職員として地域医療向上のために奔走している。ゴメリ州は、1986年に起きたチェルノブイリ原発事故による放射能汚染が激しい地域。州全体の産科医療の責任者として、日本での経験を生かして子どもの健康を支えている。

 CMFの招きで2006年と10〜12年、同国からテスロバさんを含めて計6人の小児科、産婦人科医が来日し、県立こども病院で研修をした。当時、ゴメリ医科大の准教授だったテスロバさんは、妊娠から出産までの母子の健康を支える日本の周産期医療を学んだ。14年にゴメリ州の保健局職員になり、日本と似た態勢を医療現場に取り入れ、医療水準が向上したという。「小児科と産婦人科の医師同士のチームワークの良さはとても参考になった」とテスロバさん。

 ゴメリ州には18年、7階建ての「こども病院」ができる予定。原発事故後、因果関係は不明だが、州内では小児白血病や先天性異常など、子どもを巡るさまざまな病気の発生が報告されている。完成により「子どもの医療を一つの施設で集中的に行うことができる」とテスロバさんは期待する。

 チェルノブイリ原発事故から30年の節目に、同国を私的に訪問しているCMF会員で松本市の菅谷昭市長が6日、保健局を訪れ、懇談した。

 保健局長のニコライ・ワシリコフさん(58)は「日本の知識はいい結果をもたらし、州の出生率が上がった」と感謝。菅谷市長は「日本とベラルーシで医師を派遣し合い、さらに医療水準を向上できるよう長野県に働き掛けたい」と述べた。

 テスロバさんも「新しい医療施設では、新しいやり方を取り入れなければならない」と考えている。日本には「今後も助言をもらい、日本人のやり方を伝えていきたい」と話した。

引用元:
ベラルーシの産婦人科医、日本の経験生かし奔走(信濃毎日新聞)