日本産科婦人科学会理事長の藤井知行氏は6月25日の記者会見で、2017年度以降も新制度、もしくは現制度に関わらず、専門医制度を維持することから、「今まで以上に初期研修2年目の医師の勧誘をお願いしたい」と呼びかけるとともに、専攻医の募集定員の制限も行わない方針を示した。
専門医制度をめぐっては、新制度に移行するか否かで揺れているものの、現時点で専攻医の募集を開始して問題ないという。同学会は23日付で、新専門医制度に向けて準備をしてきたものの、「しかるべく設置される検討の場」において、新専門医制度を開始できる見通しが得られない場合、7月末を目途に現制度で実施する判断をするとの声明を公表していた(資料は、日本産科婦人科学会のホームページ)。
藤井理事長は、産婦人科のなり手が不足している現状を踏まえ、「事前に募集定員を設定することは、産婦人科では全く適しておらず、考えていない。定員を設けることで、かえって産婦人科は崩壊する」と危機感を強め、募集定員の設定には強く反対するとした。同学会では年間500人の新規入会者を目標としているが、2014年度は368人、2015年度は367人と目標には達していない。「人数が少ない中で、とにかく産婦人科領域に入ってもらい、そこから地方にローテーションしてもらうことで、かえって地域間格差が縮小すると考えている」(藤井理事長)。
新専門医制度について説明する、日本産科婦人科学会理事長の藤井知行氏。
産婦人科領域、新専門医制度で地域偏在は解消へ
藤井理事長は会見でまず、「新専門医制を来年度から実施するのか否かなどをめぐって、混乱が生じている。初期研修の若い先生が心配している。それに対して、学会としての方針を早く明らかにすべきと考えた」と、この時期に声明を出した経緯を説明。
募集開始を呼びかけたのは、新専門医制度あるいは現行制度のいずれであっても、研修を行う施設にとっては、専攻医を募集すること自体には変わりはないからだ。日本産科婦人科学会には、前述のように産婦人科を目指す医師が不足しているという危機感がある。ただし、現行制度のまま実施する場合、新たな専門研修プログラムを用いるか否かなどの詳細は、検討が必要だという。
新専門医制度をめぐっては、医師の地域偏在が拡大するとの懸念があるが、藤井理事長は「それは内科など、人数の多い領域の話ではないか。産婦人科について言えば、新専門医制度によって、地域偏在は解消に向かう」と説明。新専門医制度では、基幹施設と連携施設が研修施設群を構成する。現行では都市部の大病院などでは、1施設で専門医研修を完結させるケースがあるが、新専門医制度ではこうした大病院から地方の連携施設に専攻医が行くことになるからだ。
地域偏在の拡大を防ぐため、都市部の病院の募集定員を設定することに対しても、日本産科婦人科学会は反対の方針。藤井理事長は、若手医師の都会志向を指摘し、「都会の病院の産婦人科の募集定員を絞ると、地方の産婦人科に行くのではなく、都会の他科に行ってしまう。産婦人科では、主として都会の大学が採用して、周辺地域に医師を派遣していることで成り立っている。都会の募集定員を制限すると、その余力がなくなってしまう」と理解を求めた。
引用元:
日本産科婦人科学会、「専攻医の募集開始を」「募集定員の制限、産婦人科医療の崩壊を招く」(m3.com)