出産を終えた赤ちゃんとの入院生活では、赤ちゃんに病気がないか、順調に育っているかなど、毎日医師や助産師、看護師がチェックを行ないます。

この時期、よく耳にするのが赤ちゃんの「黄疸」です。黄疸とは、胆汁に含まれる“ビリルビン”が、肌や粘膜に沈着し、皮膚や白目の部分が黄色く見える状態のことです。

筆者も産後3日頃に赤ちゃんが黄疸気味だと言われました。「えっ、赤ちゃんが病気なの!?」ととても不安になったことをよく覚えています。そして、黄疸の原因や問題点が全く分かりませんでした。

今回はプレママにぜひ知っておいてほしい、新生児の時期に起こる「黄疸」についてお伝えします。



■「新生児期」の黄疸の種類5つ



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(1)生理的黄疸(新生児黄疸)

新生児の時期に最も多い黄疸です。これはビリルビンの処理をしきれずに起こるものです。生後2〜3日頃から肌や白目が黄色くなってきます。

入院中の5〜7日頃が1番黄色くなり、場合によっては光線療法が必要になることもあります。普通は退院後、生後2週間頃から徐々に黄色味がなくなってきます。



(2)母乳性黄疸

母乳の赤ちゃんの場合、黄疸が1ヶ月または2ヶ月ほど続くことがあります。よく母乳の赤ちゃんは黄疸になりやすい、といわれるのは母乳性黄疸を指しているようです。

原因は、胆汁とともに出たビリルビンが、腸から体内に再吸収されやすいためと考えられています。母乳性黄疸の場合は特に赤ちゃんへの問題はありません。

母乳を止める必要はありませんので、安心して母乳育児を続けましょう。

ただし、黄疸が生後2週を過ぎても続く場合は、病的な原因で起こっている場合もあるため、母乳性黄疸と鑑別が必要です。自己判断せず、医師の診断を受けましょう。



(3)早産の場合の黄疸

予定日より早く生まれた赤ちゃんも、黄疸が起きやすい状態です。必要に応じて光線療法を行なうことがあります。



(4)血液型不適合による黄疸

ママと赤ちゃんの血液型不適合の場合には、脳の神経に影響を与える「核黄疸」が起こりやすくなります。1番リスクが高いのはママがRhマイナスで、赤ちゃんがRhプラスのときです。この場合は妊娠中から特別な管理が必要になってきます。



(5)胆道閉鎖症

まれですが、胆道閉鎖症、溶血性貧血、新生児肝炎症候群など病的な原因で黄疸が起こっている場合があります。

母子手帳に赤ちゃんのうんちの色をチェックするカードがあります。生後4ヶ月頃までは、うんちの色を注意深く観察しましょう。

便が白い場合は、胆道閉鎖症などの病気の可能性があるため、一日も早く小児科を受診しましょう。生後2週を過ぎても皮膚や白目が黄色い場合、おしっこが濃い黄色の場合にも、すぐに小児科を受診しましょう。

■黄疸の治療法



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黄疸の治療に用いられる光線療法は、光の働きで間接ビリルビンを水溶性に変える方法です。

光線療法によって、最近は核黄疸はほとんど起こらなくなりました。光線療法でビリルビンの値が下がらない場合は、交換輸血が必要になります。

赤ちゃんの黄疸の治療が必要になると、ママと退院の時期がずれることがあります。



■新生児黄疸の原因は?

前述の「新生児黄疸」は日本人の赤ちゃんにはよく見られる状態です。原因は大人とは異なるので、ぜひ詳しく知っておきましょう。

(1)お腹の中から外の世界へと劇的な変化

お腹の中にいるとき、赤ちゃんは胎盤を通じてママから酸素をもらっています。酸素を運ぶのは、赤血球の中に含まれるヘモグロビンです。胎内では酸素の少ない環境に適応しており、赤ちゃんの体内では赤血球がたくさん循環しています。



(2)胎児型から成人型の「ヘモグロビン」をもつ赤血球へ

生まれてからは、自分で肺呼吸をして酸素を取り入れます。そのため、胎児型の赤血球は要らなくなり、壊れて成人型ヘモグロビン(ヘモグロビンA)をもった赤血球がつくられます。



(3)ビリルビンができて体の外に出ていく

赤血球がこわれると、ビリルビン(黄色色素)ができます。ビリルビンは肝臓で水溶性になり、胆汁と一緒に小腸、大腸を通って体の外に出ます。ウンチが黄色く見えるのも、この色素のせいなのです。



(4)赤ちゃんの肝臓の機能がまだ未熟

しかしながら、赤ちゃんの肝臓の機能がまだ未熟なために、うまく処理しきれません。そのせいで、血液中のビリルビンが上昇し、黄疸として現れることがあるのです。



■新生児の時期の「黄疸の注意点」

新生児のビリルビンの正常値は5mg/dl以下です。15mg/dlを超える場合は、ビリルビンが脳の神経核に沈着する「核黄疸」が起きる可能性があります。

脳性まひなど、深刻な後遺症を残す場合があるので、新生児の時期の黄疸には注意が必要です。生後2週間を過ぎても黄疸が続く場合は、小児科を受診しましょう。



いかがでしたか。

いきなり赤ちゃんだけ黄疸で入院と言われると、とても不安になりますよね。

今日の記事を参考に、もし心配なことがあれば、パパにも可能な限り一緒に通院してもらい、ママ1人で悩まずに、医師や助産師、看護師になんでも相談しましょう。



引用元:
えっ、ウチの子病気なの!? 新生児に多い「黄疸」の治療期間と方法(It Mama)