国内の乳がん発症率が年々上がっている。国立がん研究センターは2015年の罹患(りかん)数を8万9千人、死亡者数を1万4千人と予測。20年前と比較し、罹患数は3倍に増え、12人に1人が乳がんを患う割合だ。歌舞伎俳優の市川海老蔵さん(38)が、妻でフリーアナウンサーの小林麻央さん(33)が乳がん闘病中であることを公表し、衝撃を与えた。一方で、診断後の5年生存率は約9割。早期発見が、その後の人生を左右する。乳がん急増の背景と検診の重要性について、乳がん専門の「大阪ブレストクリニック」(大阪市福島区)の芝英一院長(65)に聞いた。
「早期発見すると治る率が高くなり、治療内容も違ってくる」と、検診の重要性を強調する芝院長=大阪市福島区
−乳がんが急増している要因は。
「生活スタイルの西洋化が一番の原因。乳がんは乳腺の上皮細胞ががん化すること。遺伝性の乳がんは全体の5〜10%で、70〜80%は女性ホルモンによって増殖する。昔は女性は20歳になるくらいで子どもを産み、母乳で育てていたが、今は結婚と出産年齢が上がっいることも要因に考えられる」
−乳がんになりやすい人の傾向は。
「初潮が早い人、閉経が遅い人。家族が乳がんになったことがある人。乳がんになる年齢のピークは50歳前後。がんは一般的に高齢者の病気だが、乳がんは若年層もなるのが問題だ」
−検診は30歳代は超音波検査、40歳以上は放射線を使うマンモグラフィー(マンモ)を推奨している。
「乳腺の濃度は年齢によって違い、相対的に若い人は高濃度。マンモでは乳腺全体が白く写り、(がん細胞の)しこりも白いので、わかりにくい。そういう点では、30歳代に超音波検査は正しいと思う。ただ、超音波は検査する人が見逃す可能性がある。精密さは技術で左右されることもある。検診は年齢だけではなく、乳房の性質で変わる。40歳以上でも高濃度乳腺の人は、超音波検査を加えたほうがいい」
−予防はできるのか。
「遺伝性の場合は、(米国人女優の)アンジェリーナ・ジョリーさんのように乳房を取ってしまうことが予防になるが、一般の人には難しい。過度の飲酒や喫煙しないこと、規則正しい生活が挙げられるが、100%ではない。だからこそ早期発見が大事。早期発見だと、治る率も高くなり、治療内容も違ってくる。余裕があれば、1年に1度は受けたほうがよい。お乳と命を守るためにも検診を受けてほしい」
乳がん検診
各自治体は、検診費用を一部補助している。
大阪市では、30歳代を対象に超音波検査は千円、マンモグラフィー検査は40歳以上を対象に1500円で実施。いずれも市指定医療機関で受診する。マンモグラフィーの補助は受診が2年に1回の場合のみ。
また、厚生労働省は、子宮頸がん、乳がん、大腸がんの検診無料クーポン券を自治体を通じて一定の対象年齢者に配布している。
費用補助や無料クーポン券の配布対象年齢は自治体ごとに異なり、各市町村のがん検診窓口で問い合わせできる。
引用元:
年1度乳がん検診を 専門医 芝院長に聞く(大阪日日新聞)