福島医大医学部付属生体情報伝達研究所の井上直和准教授(41)や東大大学院薬学系研究科の大戸梅治准教授(37)らでつくる研究チームが、哺乳類の受精に関係するタンパク質の「IZUMO(イズモ)1」と「JUNO(ジュノー)」の構造と、その二つが受精の際にどのように結合するかを解明し、16日、英科学誌ネイチャーの電子版に発表した。後日ネイチャー本誌に掲載される。




 研究チームは「両者の結合を阻害する新たな避妊薬などの開発につながることが期待される」としている。

 IZUMO1は精子表面、JUNOは卵子表面に存在するタンパク質。受精の際、両者が複合体を形成することで精子が卵子表面に接着するが、どのように結合するかこれまで不明だった。

 タンパク質の構造解析に携わる大戸准教授らは両者を結晶化し、大型放射光施設SPring―8(スプリング8)で強力なX線を当てて反射光を調べる手法で構造を解明した。IZUMO1は細長い棒状で三つの部分で構成されており、JUNOは球状であることが分かった。

 受精の際には、IZUMO1の中央部分が、JUNOにある袋の外側と結びつくことが判明。それぞれの凹凸がお互いにかみ合い、パズルのピースがはまるようにしてくっつくという。

 井上准教授はマウスを使い、IZUMO1に含まれるアミノ酸の「トリプトファン」と「アルギニン」をそれぞれ変異させて実験を行った。いずれの場合も受精は進まず、トリプトファンやアルギニンが両者の結合に重要な役割を果たしていることを示した。

 井上准教授は福島市出身で、「IZUMO1」の発見者。「神秘的なメカニズムでもある受精についてさらに研究し、『福島発』の成果を出していきたい」と意気込みを語った。


引用元:
受精タンパク質構造解明 福島医大准教授ら発表、避妊薬開発に期待(福島民友)