保育園に通う子供を持つ親の多くが直面する問題の1つに、「夜、子供がなかなか寝付かない」ことが挙げられる。眠気を誘うBGMをかけたり、絵本を読み聞かせたりと、あらゆる手段を尽くしても布団から起き上がって元気にかけまわるわが子を前に、ぐったり...そんな経験がある親は少なくないだろう。その原因は、保育園での昼寝の長さにある可能性が、聖路加国際病院小児医療センターなどの研究チームによる調査で示された。同チームが1歳半前後の幼児50人の睡眠時間を携帯型機器で測定したところ、昼寝の時間が長いほど、夜の睡眠時間が短く就寝時間が遅れることが分かったという。研究チームは「以前から言われていた『幼児は昼寝が長過ぎると夜寝なくなる』ということが科学的に証明された」としている。詳細は6月9日発行の医学誌「Scientific Reports」(電子版)に掲載されている。

腕時計型の測定機器で1週間の睡眠時間を記録
 子供の昼寝が夜の睡眠にどのような影響を及ぼすのかを調べた研究は、これまでも国内外で実施されてきた。ただ、そのほとんどはアンケート調査に基づいた睡眠時間などを分析しており、基本的な睡眠パターンが形成される1歳半前後の幼児の睡眠時間を、計測器を使って客観的に測定した研究はなかった。

 そこで研究チームは今回、健康な1歳半前後の幼児50人を対象に、「アクチグラフ」と呼ばれる体の動きを記録できる腕時計型の測定機器を1週間続けて装着してもらい、さらに保護者に幼児の活動を記録してもらった。その結果、昼寝の時間が長いほど、また昼寝から起きる時刻が遅いほど、幼児の夜の睡眠時間が短く、就寝時刻が遅くなっていたという。

 研究グループは「以前から、幼児は昼寝の時間が長すぎたり、遅い時間に昼寝すると、夜寝なくなることが指摘されてきた。今回の調査では、それを科学的に証明した」とした上で、「今後、夜間の睡眠が極端に不足している子供や、昼夜が逆転している子供に対して、昼寝の時間を短縮したり、早めに切り上げるといったアドバイスをすることで、夜間の睡眠不足が解消できる可能性がある」と説明。また、「この調査結果は子供のいる家庭だけでなく、保育の現場での昼寝のルール作りにも参考になるのではないか」との見方を示している。



引用元:
「昼寝長過ぎると夜寝なくなる」を科学的に証明 聖路加国際病院など(kenko 100‎ )