短い時間で効率良く働き、仕事も家庭も充実させる。多様な人材の活躍を促し、少子高齢化を克服するには、長時間労働の是正を中心とする働き方改革が欠かせない。

 政府の「1億総活躍プラン」や「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)などは、アベノミクスの推進に向けて、働き方改革を重要課題の一つと位置付ける。安倍首相は「最大のチャレンジ」と強調している。

 自民党も参院選公約に、「労働慣行の改革」を掲げた。

 恒常的な残業を当然視する雇用慣行は、育児や介護で時間的制約のある女性らの活躍を阻んできた。働く女性の過半数が待遇面で劣る非正規雇用なのは、その反映だ。

 長時間労働は男性の育児・家事参加を妨げる主因でもある。

 家庭と両立できない働き方が、将来不安につながり、消費低迷や少子化を招いている。いくら保育・介護サービスを充実させても解決できない問題だ。

 長時間労働の是正は、労働の質を高め、生産性を向上させる。多様な人材が活躍できれば、イノベーションも促されよう。官民を挙げて推進する必要がある。

 現在は、労使協定の内容次第では、過労死ラインの月80時間を超える残業も可能だ。1億総活躍プランが、この制度の再検討を打ち出したのは妥当だ。過労死防止の観点からも見直しを急ぎたい。

 プランでは、極端に短い納期での発注など、下請け企業に長時間労働を強いる取引条件を取り締まる仕組みの整備も示された。

 いずれも、具体的な制度設計は今後の議論に委ねられた。政府には着実な実現が求められる。

 長時間労働の抑制に向けた労働基準法改正案も早期に成立させたい。有給休暇の一部を企業の責任で取得させる制度や、時間ではなく成果で賃金を決める雇用形態の導入が盛り込まれている。

 民進党など野党は「残業代ゼロ法案」と批判するが、一面的な見方だろう。与党が参院選前に野党との対決を避けようと、先の国会で早々に継続審議と判断したのも責任ある態度とは言えまい。

 終業と始業の間に一定時間を確保する「インターバル規制」を導入する企業も増えた。普及へ向け、政府の支援強化が望まれる。

 雇用形態で賃金に差をつけない「同一労働同一賃金」も働き方改革の重要テーマだ。与野党は参院選で議論を深めてもらいたい。



引用元:
働き方改革 長時間残業が「総活躍」を阻む(読売新聞‎ )