乳がん検診のマンモグラフィー(乳房エックス線撮影)について、多くの自治体では、国が示す形式に従い、異常が見えにくい乳房のタイプでも「異常なし」とだけ受診者に通知していた。
一方、見えにくいタイプであることを受診者に伝えている一部自治体は「早期発見の機会を奪うことがないように」と理由を説明する。
「国の指針は、マンモグラフィーで見えにくい乳房について、通知するよう定めていない。問題は認識しているが、市が独自に動いて通知をルール化するのは難しい」。関東のある自治体の担当者は、こう説明する。
マンモグラフィーでは、乳腺組織が白く写し出される。がんのしこりも同じく白く写るため、乳腺の密度が濃い「高濃度乳腺」の人は、しこりが隠れて、判別できなくなる。こうした乳房では、超音波検査を行うと、異常を判別しやすい。
国もこの問題を認識。7万人に行った大規模調査で昨年、マンモグラフィーに超音波を併用すると、早期がんの発見率が1・5倍になることが確認されており、自治体検診への導入も検討されている。だが、技師の養成や体制整備の費用などの課題があり、実施はまだ先になりそうだ。
約10年前から高濃度乳腺の受診者に通知している兵庫県姫路市の担当者は「マンモグラフィーだけでは判別不能なケースに『異常なし』とだけ通知するのは心苦しい」と、個別対応を行ってきた背景を説明する。
埼玉県所沢市は、昨年度から通知を始めた。見えにくいタイプと分かった場合、結果票に「高濃度乳腺のため、超音波検査を受けてください」と印字。担当者は「通知を受けた市民の8〜9割から、問い合わせの電話がある」と話す。
がん見逃す恐れ、情報提供が必要
マンモグラフィーで異常が見えにくい乳房のタイプについて、米国では、通知を法令で義務付けた州が半数を超えている。
専門家は「日本では多くの受診者が見えにくい乳房があることを知らず、マンモグラフィーさえ受けておけば安心だと思っている」と指摘する。検診の啓発活動を行う乳がん体験者からは「見落としの恐れのある乳房ならば、はっきり伝えてほしい」との声が上がっている。
受診者は検診の時、自分の乳房のタイプを尋ね、高濃度乳腺とわかれば、一度、超音波検査を受けておくのが安心だろう。自治体は、住民が検診結果を自身の健康管理に生かせるよう、より良い通知の方法を検討すべきだ。(医療部 佐々木栄)
引用元:
乳がん検診…国指針、通知義務なし 自治体、独自ルール化「困難」(読売新聞)