健康的な生活のために運動が重要であるということに異論を唱える人はいないだろう。しかし、更年期障害の度合いにも運動がかかわっているということはご存じだろうか?

更年期障害の定義とは? いつから始まるのか

 卵巣の活動性が低下し、月経が永久に停止することを閉経と言い、閉経前後の5年間が更年期と呼ばれる。

 閉経になる年齢は個体差があり、早い人で40歳台前半、遅い人で50歳台後半に閉経を迎える。

 この更年期に現れるさまざまな症状の中で、他の病気に伴わないものを更年期症状と呼び、その中でも症状が重く日常生活に支障を来すものを更年期障害と呼ぶ。自律神経症状(発汗や寒気、疲れやすさなど)、精神症状(いらいらや抑うつ)、その他(腰痛や肩こり、吐き気など)が更年期症状の代表的なものである(※1)。

ラテンアメリカで更年期障害と運動の関係を調査

 ラテンアメリカの40歳〜59歳の女性6,079人を対象に、精神状態や更年期症状に関する聞き取り調査が行われた。その調査では、身体症状、精神症状などをもとに、更年期症状スコア(MRS=Menopause Rating Scale)を付け、MRSが16以上を更年期障害と定義した。

 また同時に、日常に行う運動に関しても聞き取り調査を行った。ウォーキングやジョギング、水泳など30分以上続ける運動を週3回以上するかしないかで、活動性を分類した(※2)。

更年期障害に自然に対処するには運動が効果的

 運動をしないグループには64%の女性が分類された。更年期障害の割合は運動不足の女性で16%だったのに比べて、活動的な女性では11%と低かった。

 運動不足の女性はトータルスコアも高く、各々の症状を持つ割合も高かった。また、運動不足の女性は肥満になりやすく、抑うつ、不安、悪夢を見る割合が高かった(※2)。

更年期障害の予防だけではない運動のメリット

 北米更年期学会の上級役員Pinkertonは、「日常の身体活動は乳がんや大腸がん、認知症、心不全、脳こうそく、うつなどさまざまな病気のリスクを減少させてくれる。たった1時間の毎日のウォーキングが肥満リスクを24%低下させることもわかっている。ホットフラッシュが起きにくくなり、健康的で元気な生活ができる。こんな良いことをしない人はいるのだろうか?」と述べている(※2)。

更年期だからこそ運動を。 体も心もきっと軽くなる

 更年期症状が起きると、体もだるく、気分も落ち込んで、余計に動きたくなくなってしまうという方は多いのではないだろうか?

 仕事や家庭のことで身体的・精神的にも疲れて何もしたくない日もあるだろう。そうなると更年期障害に陥りやすく悪循環にはまってしまう。あえて、少し体を動かすことで、更年期症状が改善し、気分も晴れて、その悪循環から抜け出すことができるだろう。



引用元:
女性の多くが通る道。ごく軽い運動が更年期障害の辛い症状を和らげる(CIRCL)