増加の一途をたどる児童虐待に対応するため、児童相談所の体制や権限の強化を柱とした改正児童福祉法と改正児童虐待防止法が二十七日、参院本会議で全会一致により可決、成立した。経験豊かなベテランの児童福祉司や専門知識を持つ弁護士の児相への配置を義務付け、家庭に強制的に立ち入る「臨検」手続きの簡略化などが盛り込まれた。

 虐待行為が疑われる親などに対応する児相や自治体が、子どもの命を守るために迅速な対応を取り、効果的な施策を実行できるか注目される。

 改正児童福祉法は、児相の体制強化に向け(1)「スーパーバイザー」と呼ばれ、同僚の指導・教育を担う児童福祉司のほか、児童心理司や医師、保健師を配置(2)スーパーバイザーを含む児童福祉司の研修(3)法律に詳しい弁護士の配置−を義務化した。

 一方、児相の権限強化を目的とした改正児童虐待防止法は、臨検に関して、保護者への「出頭要求」手続きを省略して裁判所の許可状で実施できるよう規定。医療機関や学校、児童福祉施設に対しては、児相の求めに応じて虐待を受けた子どもに関する資料を提供するよう義務付けた。

 また改正児童福祉法は、都道府県や政令市にのみ設置が義務付けられていた児相を、東京二十三区が設置できるよう定めた。

 これまで一時保護中に十八歳になった場合は児童養護施設などへの入所措置ができなかったが、二十歳未満まで可能に。施設出身者らが共同生活する「自立援助ホーム」に関しては、保護された子どもが大学などへの進学を諦めたり、中退したりしないよう、入所可能な年齢を「二十歳未満」から「二十二歳に達した年度末」に引き上げた。

 虐待を受けた子どもを巡る里親支援や養子縁組は、相談・支援を児相の業務に位置付けた。



引用元:
23区も児相設置可能に 児童虐待で「臨検」手続き簡略化(東京新聞‎ )