◆浜松の女性 来月1日集い企画
産んであげられなくて、ごめんね−。子どもを産み育てやすい環境づくりを国や自治体が目指す中、流産や死産後に立ち直れず悲しみを抱えたままの女性も少なくない。十三年前に待望の第一子をおなかの中で亡くした田中愛さん(41)=浜松市東区=も、その一人だった。「打ち明けることで、少しでも前に進むきっかけに」。つらい気持ちを乗り越えて、経験を語り合う集いを六月一日に企画し、今度は同じ境遇の人たちに寄り添おうとしている。
英会話講師だった田中さんが初めて妊娠したのは結婚五年目の春。二回目の検査薬で陽性反応があり産婦人科を受診すると、胎児心拍が確認できた。やがて母子手帳が交付され、「母親になれる」と喜びでいっぱになった。
ところが妊娠十四週目、体調に異変が起きた。昼間から続いた腹部の鈍痛が、夜には間隔の短い激しい痛みに変わり出血。時間外に駆け込んだ病院の診察台で流産した。医師から見せられたのは、手のひらに収まってしまうほど小さな「わが子」だった。
田中さんは後悔と自責の念から心身のバランスを崩し、心療内科に通院。「次があるよ」。そんな励ましの言葉も受け止める余裕がなく過敏に反応してしまい、「喪失感と罪悪感の日々だった」と振り返る。ただ誰かに話したくても、適当な医療機関や公的な窓口は見当たらなかった。やがて周囲は流産について触れなくなったが「聞かない優しさ」も、またつらかった。
その後、二人の男児に恵まれた田中さんの心を動かしたのは、昨年見た命がテーマのドキュメンタリー映画だった。死産で子どもを亡くした夫婦の姿に、自身の最初の妊娠を重ねた。「戸籍も性別も名前もないあの子が、この先もなかったことになるのは悲しい。語り合うことで、生きていた証しにしたい」
一日に開く集いは「お空にかえった赤ちゃんのママ茶話会」と名付けた。「気持ちの整理が少しできたら、赤ちゃんや自分のことを話してほしい。ひとりで抱えないで」。飲み物やスイーツを味わいながら、ゆったりと過ごす時間にするつもりだ。
引用元:
【静岡】流産の悲しみ 語り癒やそう(中日新聞)