中学校の入学式から約1ヵ月が経ちました。小学校とは大きく異なる環境で中学校での生活は、発見もたっぷり。毎日が楽しくて、時間が駆け足で過ぎていってしまいますね。その調子で順調に進みたいところですが、5月になって急に身体の調子を崩したり、精神的に落ち込んだりする人もみられます。昔から日本ではこのような状態を「五月病」と呼んだりします。五月病って、どんなものなのでしょうか。

病気じゃないけど病気みたいな五月病というもの

最近ネットでも漫画でも流行の「中二病」という言葉。本当の病気ではありませんよね。五月病も同じです。風邪やインフルエンザのような本当の病気とは違い、新しい環境に適合できないことからイライラしたり、朝起きれなくなったり、疲れやすい、寝られない、などといった身体的や精神的症状で目立つようになる、一種のうつ状態と考えられています。5月前後に起こりやすいのでこの名前で呼ばれます。

日本では、新しい学年が4月からスタートします。
最初の1ヵ月は新しい環境に慣れるために精一杯のとき。新しい環境に入り込んで生活するのは、無意識的ではあっても本当はとても気の張る状態が続く実に努力のいることなのです。はじめの1ヵ月くらいは緊張感もあるし、楽しさもあるし…ということで、あまり自分が大変な体験をしていることに気づくことができません。心や身体の疲れは、知らない間にたまっていくのです。

4月から1ヵ月程度が過ぎたころになると、がんばり過ぎていた人の心と身体に限界が来ます。どっと疲れが出てきて、前のように朝早く起きることができなくなるかもしれません。学校に行くのも宿題をするのも、ちょっとおっくうになるかも。そんな、「病気じゃないけどなんだか4月みたいにパワーが出ない」、それが五月病の主な原因。身体の疲れを気合いで無視することはできるかもしれませんが、やはりずっとそれを保つのは無理です。

もちろん、そういった状態になるのがもうちょっと早い人、連休明けの人、6月に入ってからの人、ある程度ゆっくりできたらすっきりしてしまう人、何も感じない人…いろいろな人がいます。

なんだか疲れたな…と思ったら、心と身体を休ませましょう

がんばるのはとてもいいことです。けれど、ずっとがんばり続けるのは誰にとっても難しいこと。大人も、心と身体を休憩させることを意識しながら毎日を過ごしています。疲れているな、と思ったら、それは「休憩が必要だよ」というサインかも。そんなときには一度がんばるのをやめてみてもいいのです。ゆっくり過ごす時間をつくってみましょう。

「そんな時間はないよ」と思うかもしれません。でも、例えばいつもより30分早く寝るだけでも、身体の回復具合は違います。いつもつい見てしまう(でも楽しみにしているわけでもない)テレビ番組の時間を宿題の時間にして、早く寝てみてください。

どうしても身体がだるいと思うなら、それをきちんと親に伝え、「1日だけ部活を(習い事を)休みたい」と言ってもいいと思います。理由なく「休みたい」は親がとても心配して逆におせっかいになるかもしれないので、説明はしっかりしましょうね。身体が休まると心もすっきりすることが多いものです。

こんな心の疲れリセット方法も

心の回復のためには、「ちょっぴり休憩」がおすすめ。自分が大好きな楽しいことをしたり、趣味に集中したりすることで、疲れをちょっとリセットするのです。大好きな漫画を読んだりゲームをしたりしていると、今がいつで、自分がどこにいるのかわからなくなるような感覚はありませんか? そんな時間こそ、心の荷物をふっと軽くする効果があります。「ちょっとリセット」でも、何もしないのとは全然違います。「ちょっぴり休憩のために今日の宿題をがんばる!」とごほうびみたいに考えてもいいかもしれませんね。

1日30分だけ、もし余裕がある日なら1時間。時間を決め、けじめをつけて行動できるのなら、親に叱られることもないでしょう。「何時になったら勉強に戻るから」と宣言して、その通りに行動してみてください。ゲームをしていたのに、逆に褒められるかもしれません。

「今は身体の調子もいいし、何の心配もない!」そう思っていても、本当は違うことがあるんだな、ということがわかっていただけたでしょうか。
疲れに気づいても無視してがんばろうとしてしまうのは、五月病になりやすい人です。ちょっと自分を振り返って、考えてみる時間をつくってみませんか? 

五月病の症状は人によって異なります。やる気が出ないだけでなく、肩こりやめまい、吐き気、不眠など症状はさまざま。でも、「もしかして五月病かな。しんどいな」と思ったら、心療内科や小児科へ行って診てもらうのもよいでしょう。


引用元:
身体も心も疲れていない? その疲れ「五月病」かも  (ベネッセ)