妊娠中は新しい命をお腹の中で育てるわけですから、妊娠していないときと比べて、体の中の環境は大きく変わります。
これまで“当たり前”であった生活が変わるため、それに伴って体が環境についていくことが出来ずに、何かしらの疾患にかかってしまう可能性もあります。
では妊娠中に何かしらの疾患にかかってしまった時に、その苦痛を和らげるためにお薬の使用をしたいという方も少なくありません。しかし、胎児のことを考えると「できる限りお薬を使いたくない」というのが本音です。
今回は、“妊娠中の医薬品の服用と胎児への影響”についてお話します

■医薬品の役割
日常生活に欠かせないお薬ですが、そもそも薬とはどのようなものを言うのでしょうか?
お薬、つまり医薬品とは、簡単に言うと「疾患による苦痛を和らげるための化学物質等(漢方薬など一部生薬もあります)」のことです。
医薬品を飲むと胃や腸肝で吸収されて、その後血液に乗って全身に行き渡ります。
身体の外から化学物質を取り入れることで生体に影響をさせ、疾患の治癒に用いられ、その疾患の治癒を目的とした“主作用”とそれ以外の反応である“副作用”とがあります。

■絶対に使わないで!医薬品の「禁忌」にご注意
ここでやはり気になるのが“胎盤の通過”です。医薬品は、前述したように基本的には化学物質です。まだまだ発達段階である胎児に対して「胎盤を通過して化学物質が入ってくる」ことによって何かしらの影響を及ぼしてしまう可能性も、十分に考えられます。
ですから、風邪を引いてしまって辛いという状況があった場合には、自己判断で薬局で市販の風邪薬を服用するのではなく、必ずお医者さんに相談するようにして下さい。
「お医者さんが処方してくれる医薬品」のことを“処方薬”と言います。処方薬には、必ず添付文書と言ってそのお薬の説明書があります。その中に“禁忌:きんき”という項目があります。
これは「絶対に使用してはならない状況」のことを指します。
その中に“妊婦または妊娠している可能性のある婦人”と書いてある場合には。胎児に何かしらの影響を及ぼしてしまう可能性があるものと考えられるので、絶対に服薬してはいけません。

■時期によって注意ポイントが異なる!「妊娠週数と胎児への影響」
神奈川県立こども医療センター 周産期医療部産婦人科部長 山中美智子先生によると、胎児に対する医薬品の影響は妊娠週数別に、以下のように分類されております。
(1)妊娠4週未満
<まだ胎児の器官形成は開始されておらず、母体薬剤投与の影響を受けた受精卵は、着床しなかったり、流産してしまったり、あるいは完全に修復されるかのいずれかである。ただし、残留性のある薬剤の場合は要注意である。>

(2)妊娠4週から7週まで
<胎児の体の原器が作られる器官形成期であり、奇形を起こすかどうかという意味では最も過敏性が高い「絶対過敏期」である。この時期には本人も妊娠していることに気づいていないことも多い。>

(3)妊娠8週から15週まで
<胎児の重要な器管の形成は終わり、奇形を起こすという意味での過敏期を過ぎてその感受性が低下する時期。一部では分化などが続いているため、奇形を起こす心配がなくなるわけではない。>

(4)妊娠16週から分娩まで
<胎児に奇形を起こすことが問題となることはないが、多くの薬剤は胎盤を通過して、胎児に移行する。
胎児発育の抑制、胎児の機能的発育への影響、子宮内胎児死亡、分娩直後の新生児の適応障害や胎盤からの薬剤が急になくなることによる離脱障害が問題となる。>

となっております。
非常に胎児に対する影響が大きいものもあるので、やはり自己判断で服用するのは避けるようにしましょう。

■感染症に要注意!「妊娠中に病気にならない」ためには免疫が重要
妊娠期間は“十月十日(とつきとおか)”と言われるように、10か月以上もお腹の中で胎児を育てていくわけですから、健康管理が非常に重要になってきます。
同時に、前述したように疾患にかからないような生活をすることが重要になってきます。
妊娠中は体の中の環境が大きく変わります。それがストレスとなってしまうことで、免疫系が弱くなってしまうということもあります。
妊娠中で気を付けたい疾患として様々なものがありますが、身近なものとして“感染症”が挙げられます。感染症にかからないようにするためにも、まずは免疫系を強くしておくことが重要になってきます。
そのためにも、妊娠中の食生活において“免疫系を強くする食材”を取り入れてみると良いでしょう。
特に“食物繊維”などは免疫系強化をサポートしてくれますし、妊娠中に便秘に悩まされている方にとっても、便秘解消にもある程度役立つと言われています。
普段の生活の中で、規則正しい生活を心がけることはもちろんのこと、食生活にも気を使ってみるようにして下さい。

いかがでしたか?
「お薬の投与は慎重に」と言われますが、ドラッグストアなどで自ら購入するようなお薬は極力避け、少しでも不安を感じたら産婦人科に相談し、様子を見ながらお薬を出してもらうようにしましょう。


引用元:
妊婦はクスリのんだらダメ!? 「妊娠中服薬」がもたらす胎児影響と注意点(日刊アメーバ―ニュース)