がん細胞が免疫による攻撃を回避するメカニズムの一部を解明したと、京都大の小川誠司教授らを中心とする研究グループが発表した。研究成果を応用すれば、抗がん剤の効果がある人を事前に判別でき、効果的な治療や医療費削減につながると期待される。論文は23日付の英科学誌ネイチャー電子版に掲載された。
人間には本来、細胞ががんになった場合に、がん細胞を攻撃する免疫の仕組みが備わっている。がん細胞にある分子「PD−L1」を認識することで免疫が働くが、何らかの理由で認識しない場合に、がんが発症すると考えられている。
研究グループは、33の主ながんを含む1万例以上のPD−L1遺伝子について、スーパーコンピューター「京」を使って解析。遺伝子の末端で起きた欠落や重複などの異常が、がんの発症に関わっていることを突き止めた。
実験でマウスにがん細胞を移植し、免疫を促進する薬を投与すると、通常はがん細胞が縮小する。しかし、PD−L1遺伝子の末端部分を欠落させたがん細胞を移植したマウスは、がん細胞がほとんど縮小しなかった。
がんに対しては外科手術や薬物療法、放射線治療が中心だったが、近年は免疫を使った治療法が注目されている。PD−L1などに働き掛け、免疫力を引き出す抗がん剤「オプジーボ」が販売され、患者によっては非常に高い効果を得られる一方、効果がある患者を事前に判別できないことが課題になっている。研究グループは鹿児島大病院で臨床研究を始めた。
グループの片岡圭亮京大特定助教は「よく効く人は見つけることができる。ある程度効く人や全く効かない人を判別するには、免疫回避のメカニズムをさらに解明する必要がある」と話している。
引用元:
免疫回避の仕組み解明=がん治療、効果的に−京大など(時事ドットコム)