乳児の皮膚炎や脱毛、成長障害などを引き起こす可能性がある、母乳の亜鉛不足について、京都大学の研究グループは、原因となる遺伝子の変異を複数確認したと明らかにした。従来の予測より多くの乳児亜鉛欠乏症が発生しているおそれがあるという。



 たんぱく質の合成や骨の発育などに欠かせない亜鉛は、乳児では体重あたり成人の2〜3倍量を必要とする。亜鉛不足になると、皮膚炎や脱毛、下痢、成長障害などを招きかねず、早産児や低体重児には特に深刻な問題となる。

 

 授乳開始直後の母乳には、血液の5倍の濃度の亜鉛が含まれており、不足すると乳児が亜鉛不足になり、補充治療を行う必要性がある。

 

 2006年の研究で、母親の乳腺に亜鉛を分泌する特定の遺伝子(ZnT2)が変異を起こすと、母乳中の亜鉛不足を起こすことが明らかになっている。



 京大の神戸大朋准教授らのグループは、一過性乳児亜鉛欠乏症を発症した母親の血液中のゲノムを解析した。その結果、どの母親からも、ZnT2遺伝子上に、新たな遺伝子変異を発見。細胞を培養して解析したところ、発見した遺伝子変異はすべて母乳への亜鉛分泌機能を失わせることが判明した。



 研究グループによると、国内での一過性乳児亜鉛欠乏症の症例は、1981年〜2006年の26年間に17例、2007年から2014年までの8年間に20例と急増している。

 

 遺伝子変異の発生率や発症リスクに関しては、症例が少なかったため、これまで明らかにされていなかったが、今回、最近の症例児の母親の協力を得て、亜鉛欠乏症を引き起こす遺伝子変異を特定したことで、日本人では遺伝子変異が従来より多いことがわかった。

 

 グループは、「今回の研究で、日本では乳児の亜鉛欠乏症が、これまでの予測より数多く発生している可能性を示している」として、母乳哺育を続けるうえでのリスクについても啓蒙活動の必要性を指摘している。

 

 なおこの研究論文は、小児医学誌「ペディアトリック・リサーチ」に掲載された。


引用元:
遺伝子変異による母乳の亜鉛不足 日本人に多い可能性 乳児への影響は…?(ハザードラボ)