母親の卵子から子に受け継がれる細胞小器官ミトコンドリアの異常による子の難病を防ぐため、健康な別の女性から卵子提供を受けてミトコンドリアを交換する特殊な体外受精を行う場合、異常なミトコンドリアが少しでも残ると、生まれた子の成長過程で難病の発症につながる恐れがあることが分かった。
米ニューヨーク幹細胞財団とコロンビア大の研究チームが試験管内の実験で確認し、19日付の米科学誌セル・ステムセル電子版に発表した。異常なミトコンドリアを完全に残さないようにするか、完全交換を検証してから体外受精に使う必要があるという。
人の全遺伝情報(ゲノム)は細胞核にあるDNAが担うが、細胞質に多数あるミトコンドリアもDNAを持ち、異常があると脳や心臓、肝臓などの難病を引き起こす。
異常なミトコンドリアを持つ女性が子に遺伝させないためには、健康な女性から卵子の提供を受けて細胞核を抜き、代わりに自分の細胞核を入れて体外受精に使えば、結果的にミトコンドリアを交換したことになる。英国では昨年2月に合法化されたが、この方法で子供が生まれたとの報告はない。
研究チームが人の卵子の細胞核を入れ替える実験を行ったところ、元の卵子のミトコンドリアが1%弱でも残ってしまうケースが半分くらいあった。卵子を胚に成長させ、幹細胞を作って培養を続けたり、さまざまな細胞に変えたりする実験を行ったところ、元の卵子のミトコンドリアの割合が大幅に増えてしまうケースがあることが分かった。
引用元:
難病防止には完全交換=卵子のミトコンドリア−米財団など時事通信()