熊本地震に伴う避難生活のストレスや食生活の乱れで、母乳が出にくくなったり乳腺炎になったりして悩んでいる母親をケアしようと、県内の有志の助産師たちが、無料でマッサージを施している。1人の主婦の発案で始まった取り組み。胸全体の血流を良くし、母乳の量を増やしたり味を良くしたりする助産師たちの手技で、乳児を抱えながら避難生活を送る母親たちの不安も解きほぐしている。

 「色の濃い野菜を1週間集中して取ると、この(母乳の)ぬめりがなくなるから、頑張って食べるようにしてね」。2日午後、熊本市中央区の八木助産院。八木厚子助産師(53)は、生後半年の赤ちゃんと訪れた益城町の女性(38)にマッサージを施しながら優しく語り掛けた。胸の張りと痛みを感じていたという女性はマッサージが終わると、「歩く振動でも痛かったけど、とてもすっきりした」とほっとした表情をみせた。

 無料マッサージは、2児の母の主婦小澄美幸さん(37)=熊本市東区=が、ボランティアをするために益城町の避難所を訪れた際、大勢の人が行き交う中で授乳していた女性を見かけたことが始まるきっかけだった。女性のこわばった表情に「赤ちゃんのいるお母さんたちにとって、避難生活は相当厳しい状況にある」と気付いた。

 そこで思いついたのが、自ら乳腺炎に苦しんだ際に、心身ともに助けられた母乳マッサージを、被災した母親たちに気軽に受けてもらうことだった。4月19日、ヨガ教室が開かれている一室を借りてマッサージを行う「臨時相談室」を開室。知人の助産師らに施術の協力を求めた。その後、取り組みへの賛同が助産師に広がり、現在は熊本市や八代市の助産院など5施設が被災した母親への無料マッサージを受け付けている。

 そのうちの一つの八木助産院ではこれまでに、延べ40人以上の母親たちが駆け込んだ。八木さんによると、母親たちからは「母乳が減り不安」「味が変化したのか赤ちゃんが母乳を飲まなくなった」といった訴えが寄せられている。血液循環の悪化で母乳が詰まり、乳腺炎を発症しているケースも目立つという。

 八木さんは原因として、野菜不足の食生活や車中泊のストレス、疲労の蓄積などを挙げる。小澄さんは「子どもがおっぱいを飲んでいる顔を見ることが、お母さんたちの癒やしになる。困ったら相談を」と利用を呼び掛けている。



引用元:
授乳の癒やし お母さんに 助産師有志が無料マッサージ 被災の不安解きほぐす [熊本県](西日本新聞)