生後1〜2日の赤ちゃんを撮り続ける神戸市垂水区の写真家、酒本和範さん(51)が5日のこどもの日に合わせ、東日本大震災の被災地、宮城県気仙沼市で写真展を開く。「人の幸せを撮りたい」という思いを込めた写真からは、命の尊さや強さが笑顔とともに伝わってくる。
「大丈夫だよ、大丈夫だよ」−−。赤ちゃんが泣きやんだ瞬間、シャッターを押す。つぶらな瞳にほんのり紅のさす透き通る肌。ミルクの匂いがしそうな写真だ。
1997年、近くの産婦人科医院に頼まれて撮影を始めた。赤ちゃんの目を傷めるリスクがあるため最初は断ったが、親と暮らせなくなる子や直後に亡くなる子もいると知り、出産の喜びを残したいという病院や親の思いに胸を打たれた。以来、撮った赤ちゃんは約5000人に及ぶ。
撮り続ける理由はもう一つある。95年の阪神大震災。カメラを手に街に出たが、予想を超える惨状に撮影できず、気付いたら救助の輪に加わっていた。「写真のプロとして自分に何ができるか考え直した。小さくてもいい。人の幸せを撮りたい」と痛感した。
光の拡散や肌の透明感にこだわって機材の改良を重ね、愛用のハッセルブラッド社のカメラにストロボ3個を付け、目を傷めないよう淡い光で部屋全体を明るくする。新生児は「寝るか泣くか」。その表情を、肌の質感や指の形でとらえる。
写真展は、「気仙沼フェニックスバッティングセンター」の経営者、千葉清英さん(46)と昨年、神戸のコミュニティーFMで共演したのを機に実現した。千葉さんは2014年に子供たちのためにバッティングセンターを開業した。近くには仮設住宅もあり「震災から5年たってきつい部分もあるが、子供の姿に大人は元気づけられる。写真で前向きな気持ちになってほしい」と期待する。写真展は3〜5日、同センターで。【
引用元:
赤ちゃん写真展 幸せの象徴、20年で5000人撮影(毎日新聞)